石破首相が戦後80年の所感を発表した。歴史認識については歴代内閣の立場を引き継ぐと明記した上で、戦前は「文民統制」の原則が存在しなかったという制度上の問題を挙げた。1940年に斎藤隆夫議員が政府と軍部を厳しく批判した「反軍演説」に触れ、軍に対する統制を果たすべき議会も機能を失っていたと指摘した。戦後の日本は憲法により「文民統制」が確保され、制度的な手当ては行われたとしたが、政治の側は自衛隊を使いこなす能力と見識を十分に持つ必要があり、政治家は無責任なポピュリズムに屈しない矜持と責任感を持たなければならないと強調した。国会は一時的な世論に迎合し、人気取り政策に動いて国益を損なう党利党略と己の保身に走っては決してならないと指摘。メディアは過度な商業主義に陥ってはならず、偏狭なナショナリズムや排外主義を許してはならないとしている。寛容さを持った本来のリベラリズムと健全で強靭な民主主義が何よりも大切と訴えた。昭和史に詳しいノンフィクション作家の保阪正康さんは「書かれている歴史感覚は戦後の最も一般的な理解で教科書とか社会の一般的な理解に基づいている。私たちにとって安心感の持てる歴史感覚だといっていいのでは」と評価した。広内キャスターは「歴史認識を引き継ぎ、どう平和を守っていくか考え続ける必要がある」とコメント。