保護司制度について。罪を犯した人の立ち直りを地域で支援していこうという制度。この保護司というのは国から委嘱された非常勤の国家公務員で、給与は支給されないボランティア。刑務所や少年院から出た人など保護観察期間の人が社会復帰をするにあたって、住む場所、職を探して悩みの相談などを行う。ただ、今この保護司制度が深刻な課題に直面している。都内で保護司をしている本堂雄大さん。不動産の管理会社を経営している本堂さん。地域の役に立ちたいと12年前、保護司になった。この日、本堂さんが会ったのはかつて保護司として支援した山本繁さん。薬物所持で逮捕され、実刑判決を受けて6年前に出所した。出所したとき、相談相手がおらず、孤立していた山本さん。本堂さんにアドバイスをもらいながら住まいや仕事を探し、生活を立て直していった。本堂さんは山本さんの保護観察の期間が終わったあとも月に1回会い、近況を聞いたり相談に乗ったりしている。山本さんは去年、働いていた会社を病気で退職し、現在就職活動中。本堂さんを安心させたいという思いが山本さんの今を支えている。本堂さんが所属する新宿区の保護司会。今、課題となっているのが担い手の不足。法務省によると保護司の数は10年前は4万8000人ほどだったが、およそ3000人減少。3年前から特例で上限年齢を引き上げたことで担い手を維持している状況。背景にあるのが高齢化。70歳以上が増加し、およそ4割を占めるようになっている。本堂さんが所属する保護司会も115人中48人が70歳以上の人たちになっている。担い手不足に直面しているこの保護司制度だが、国も危機感を持って去年から検討会を立ち上げている。この担い手不足の前提というのは高齢化だが、制度特有の要因も指摘されている。その1つが人集めの仕組み。現在は現役の保護司の人脈を通じて候補者を見つけるというのが主流。これに対して一般に広く募集する公募制を行って対象者を広げる、またインターンシップやセミナーを実施して社会的認知や関心を高めて人材確保につなげるなどが検討されている。このインターンシップについて国の議論に先駆けて取り組みを行っている現場を取材した。