ヤクルトの投手として活躍した館山昌平さんは17年間で85勝をあげた。苦しんだのが右ひじ靭帯断裂のけがで、トミー・ジョン手術を3度も繰り返した。じん帯は関節の骨と骨をつなぐ紐状の組織で、断裂したじん帯を再建する場合は構造が似たけんを自分の身体の別の場所から移植する手術が必要となる。しかし採取した部分の筋力低下や断裂を繰り返すことでけんが不足するなどのデメリットも。館山さんは2度目の手術後に1年のリハビリを行い、復帰試合で3度目の断裂をするとその後全盛期の状態を取り戻すことは難しかったという。医療現場ではアスリートを救おうとある技術の開発が進んでいる。研究グループはウシの脚のけんが人のじん帯の代わりになると注目した。そこで拒絶反応が課題となるが、グループはけんからウシの細胞を完全に取り除く装置を開発。安全性などを確かめる治験が去年12月に始まった。その2例目として手術を受けた男性は1か月半後に診察に訪れたが、これまでに拒絶反応などはおこらず経過は順調とのこと。グループは今後スポーツによるけがだけでなく肩のけん断裂へも応用したいと考えているそうで、約60例の手術を行い長期にわたる拒絶反応などについて調べることにしている。