先週、富士通は都内にある本社機能を川崎市に移すと発表した。いま、こうした大企業の本社移転が相次いでいるが、勤務地が変わることで社員の業務や生活にどのような影響が出るのか、追跡取材した。富士通ではリモートワークが定着し、現在社員の出社率は約2割となっている。生産性の高い働き方などを目的に本社機能の移転を決めた。来年9月末までに川崎工場などに移転するほか、外部のシェアオフィスも活用する計画。固定的なオフィスから柔軟で流動的なオフィスにシフトした。今年上半期に首都圏から地方へ本社を移転した企業は172社に上り、4年連続転出超過となっている。家賃など経費削減のメリットなどがある。日本ミシュランタイヤは8月に新宿から群馬県太田市に本社を移転させた。もともとタイヤの開発を行っていた研究施設への移転で、業務の効率化や地域との連携強化が目的。約100人の社員の勤務地が太田市に変更になった。そのうち20人は引っ越したが、80人は柔軟な働き方という選択肢を使って通勤をベースとしている。移転に伴って本社に出社する目安を週2日に設定している。ミシュランでブランド戦略を担当する梶さんは現在、会社の近くにある太田市内の社宅に住んでいる。梶さんはフリーランスの夫と1歳の双子の4人家族。家賃の85%は会社が補助してくれる。結果的に新宿オフィスのときよりも通勤時間が短縮された、車があるので行動範囲が広がった、などのメリットもあったという。一方、今までの自宅から通っている社員のためには新宿駅と太田市の本社を結ぶ無料のシャトルバスが用意された。車内はWi-Fiも完備されている。シャトルバスに乗っている時間も勤務時間扱いとなっている。固定資産税や法人税、所得税、消費税など税収の増加などの期待から、こうした動きをチャンスと捉える地方自治体も多い。