鹿児島のシンボル・桜島のすぐ近くに、新島という周囲2.3キロの小さな島がある。しばらく無人島になっていたが、幼少期を島で過ごした女性が夫と移住し、民泊とカフェを営みながら生活を始めた。島の魅力の発信に取り組む夫婦の姿を追った。新島は、1779年に始まった安永噴火の影響で海底が隆起して生まれた島。梅雨明けのある日、マラソン大会が開かれた。漁業が盛んだった1950年代、多いときでおよそ250人が暮らしていた。その後、魚離れなどの社会の変化で人口は減少。2013年、無人島になった。小学校卒業まで島で暮らしていた佐々木和子さんは47年ぶりにUターン。夫の直行さんは、島の神社再興を願う和子さんの父親の思いを聞き、移住を決意した。江戸時代からの歴史を持つ島の神社。ボランティアの力も借りて再建し、毎朝の掃除など管理を続けている。夫婦が始めたのは島巡りツアー。行政とも連携し、年間200人を案内している。提供する料理には、島で育てた食材を使っている。新島の隆起した地層には化石があるなど鹿児島市は島を貴重な観光資源と見ていて、今後、佐々木さん夫妻との連携をさらに深めていくことにしている。