インターネットは手軽に情報にたどり着ける。読書をノイズと感じる人もいる。SNSなど短い動画に慣れていくと、自分の知っている範囲のことだけを楽しむような情報環境になる怖さはあるという。本離れが起きていくと世代やバックグラウンドが違う人とか、自分にとって心地よくない意見を受け入れづらくなってしまうとのこと。知らない世界や異なるものへの想像力を養い、多様性、普遍的な価値観を養う読書。専制的な権力は書物を危険と見なし排除しようとしてきた。ナチスドイツが反ナチス的な本を燃やす焚書事件が起きた。中国では文化大革命で作家・知識人への弾圧が起きた。戦前戦中の日本でも、発禁処分などが行われてきた。近年、アメリカでも、人権や人種問題の本が、教育現場から排除されている。危険とされた思想や不都合な真実を記した本を手にとることが許されなかった一般市民。いまや私たち自身が自ら本を手に取らなくなっている。日本ペンクラブの山田健太副会長は、戦争を止める、平和を維持する、貧困をなくす、そのためには知というもの、知識を高めていくという必要があるという。それを文化として継承していく必要がある。反知性主義という言葉がいま非常に力を持っている。複雑なことを考えなくなっている。他者のことを知る必要がないと思っているから対話しないという。この対話のなさが読書なき社会の負の側面のひとつになっている。社会全体が考える時間が必要になっている。そのための読書だ。