ここからは米の流通に詳しい日本国際学園大学・荒幡教授に解説いただく。全国のスーパーで販売するコメの平均価格は先週一旦下がったが、再び上昇し過去最高を更新した。価格が上がった理由について農水省は「備蓄米以外の高いコメも盛んに買われているため」としている。荒幡さんは「どんどん下がるというのは難しいと思ったが、先週の話で少し下がる方に期待したが、ちょっと上がったのは意外だった」とコメントした。1回目の備蓄米放出時は小売業者に約0.3%しか届かなかったが、2回目の放出で約1.4%となった。備蓄米放出に向け農水省は「コメ引き渡しの優先枠を設ける」「備蓄米を政府に戻す期間延長」という2つの策を打ち出した。これまで入札する集荷業者に「いつごろまでに出荷するか」という計画を提出するよう求めていたが、今後は「どの店で販売するか」まで事前に決めた集荷業者に優先的にコメを引き渡すこととなる。それにより卸売業者を通さずに街のコメ店に行き渡ったり、卸売業者などを通してもスーパーなどにスムーズにコメが行き届くようになることが期待される。2つ目の「期間延長」については、これまでは備蓄米の入札に参加する条件として備蓄米を政府に戻す期間を「原則1年以内」としていたが、今後は「原則5年以内」となった。荒幡さんは「特に後者の『買い戻しの条件』の緩和は大きなインパクトになると思う。いままでは”1年以内”という条件があったので、品薄感が解消できなかった。1年以内に返す場合は、今年の収穫量から放出した備蓄米を引いた分を置いておかないといけなかったので、収穫量が減るということになっていたため。これはかなりインパクトがある」などと説明した。コメの不足感が解消されるには、少なくとも40~50万トンが放出されなければならない。そのため6月頃に目に見えて下がり、流通が安定する7月下旬頃には「4,000円台を切る可能性もある」という。新米が豊作かどうかは8月20日にごろに発表される「作況指数」で判明する。