柳瀬和央さんが注目記事「介護就労者、初の減少」について解説。厚労省の分析によると、2022年は介護業界を離職した人が新たに働き始めた人を上回り、介護現場で働く人の総数が前年より1.6%減となった。飲食業など他の産業で賃上げが広がり、よりより待遇を求めて転職する人が増えたため。2021年までは新たに介護現場に入る人の方が多くて、就労者数は毎年増えていた。今日のテーマは「介護人材を確保するために必要なことは」。厚労省は高齢者数がピークに近付く2040年度時点で約280万人の介護職員が必要になると試算している。2019年度の実績は約211万人だったので、69万人増やす必要がある。ただ、産業界で賃上げの動きが広がった結果、介護現場の処遇の低さが今まで以上に浮き彫りになった。柳瀬さんは処遇改善、生産性を高めるためにテクノロジーの活用としてセンサーなどの見守り支援機器、介護ロボットを挙げ、また介護事業所の規模を拡大して生産性を高める方法もあるとした。柳瀬さんは「介護保険制度は2000年度に始まり、23年度には約12兆8000億円と過去最高を更新する見込み。現役世代が支払う保険料は月6000円を超えていて、高齢者が払う保険料も全国平均で6014円と当初に比べ倍になっている。仮に来年度から介護報酬を引き上げる場合の財源はどこから賄うのか、保険料をさらに引き上げるのか、財源確保した上で税金の投入額を増やすのか、利用者負担を引き上げる選択肢もある。危機的な介護業界を守るためにどんな負担が適切なのか考えていく必要がある」などと話した。(日本経済新聞)