オレンジイノベーションプロジェクト。認知症啓発などのシンボルカラーがオレンジ、これにイノベーションを組み合わせたことばで、経済産業省は3年前からこの分野での製品やサービスの取り組みを推進している。どのような製品が生まれているのかを取材した。先月開かれた展示会には、医療関係者や患者、その家族たちが訪れていた。大手自動車メーカーは、軽度の認知症を患う人などに向けた歩行ナビシステムを開発。あらかじめルートを設定しておけば、道案内をしてくれる。別の企業は手首に巻きつけられるメモを開発した。もともとは看護師など医療従事者向けだったが、視界に入りやすく思い出せるという認知症の患者の声を受け、改良に取り組んでいる。患者から会社に届いたメールは、時計と一緒につけるために改善してほしいとの内容で、要望を受けて素材や幅の検討を進めている。認知症の人はもちろん、そうでない人にとっても便利に使え、それが企業にとってはビジネスチャンスにもなる。腕時計型の歩行ナビを開発するメーカーは、免許を返納した高齢な方の移動サポートにも生かしたいとしていた。日本総研高齢社会イノベーショングループ・高橋光進マネージャーは「持続的に取り組むためには収益を上げることが重要で、製品サービスを当事者にしっかり届けていく仕組みの整備が必要だ」とコメント。