持続可能な航空燃料の略で天ぷら油や廃棄油から作られる航空燃料「SAF」について解説。従来のジェット燃料と比べると6割ほど二酸化炭素の排出量を減らすことができるとして普及が期待されている。2050年に二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするという政府の目標に向けて脱炭素の鍵を握るものとなっている。航空大手各社は2030年までに航空燃料の10%をSAFに置き換えるという目標を掲げている。その中で現在、日本航空は羽田からニューヨークに向かうほとんどすべての便に1%のSAFを混ぜて運航、また、ANAホールディングスは国際線国内線問わず航空燃料に一定量を混ぜて運航している。2社とも徐々にだが導入が始まっている状況だ。生産面ではコスモエネルギーホールディングスが今年度から大阪堺の製油所で年間3万キロリットルの生産開始を予定している。またENEOSホールディングスは2027年から出光興産は2028年度からそれぞれ以前は石油を精製していた場所で今後の増加の需要を見込んでSAFの製造に切り替えて生産を開始する予定。今後の課題としては1つは原料の調達、原料となる廃食油や植物を国内だけでまかなうのは難しい状況で海外から多くを輸入する必要がある。国内でも調達できるよう北海道に工場を持つ精糖メーカーと神戸大学が砂糖を製造する過程でできる副産物と酵母を活用してSAFを製造する研究を始めた。もう1つは価格、従来のジェット燃料よりも生産にかかるコストが2倍以上高くなってしまい政府による補助が行われている。そのうえで今後はコストを低減できるような技術革新が求められている。EU=ヨーロッパ連合は2025年から域内の航空を出発する航空便にSAFの利用を義務付けると決めているのでこれからどんどんそういうのが加速していかないといけない時代になってくるだろう。