USスチールの買収計画について石破総理は今回、日本の巨額な投資実績を示す複数の資料を用意して会談に臨んだ。日本がアメリカの経済に大きく貢献していると端的に伝えるため。そして、この流れの中でUSスチールも大きな投資の1つだと説明する戦略を周辺に明かしていた。会談で実際にどのようなやり取りがあったのかは明らかになっていないが、記者会見での2人の発言を踏まえれば、こうした戦略が一定の理解につながったものとみられる。ホワイトハウスに入る際、石破総理はやや固い表情を浮かべていた。ただ共同記者会見ではユーモアを交えて記者の質問をかわし、それにトランプ大統領がすぐさま反応して会場から笑いが起きる一幕もあった。2人の距離が縮まったこともうかがわれ、政府内からもトランプ政権と協力を重ねていく土台を築くことができたという受け止めが出ている。ただ、トランプ大統領はアメリカの対日貿易赤字の解消、日本の防衛費のさらなる増額にも言及しているので今後の出方が不透明な部分もある。まずは順調なスタートを切ったと言えそうな石破総理だが、自国第一主義の政策を掲げるトランプ大統領と両国の国益に沿う協力関係を構築できるのか。引き続き首脳外交の手腕が問われることになる。