新型コロナウイルスが感染症法上の5類になって1年が経ち、日常の風景が戻ってきている中、舞台や演奏会の中止で大きな打撃を受けた芸術の分野でフリーランスとしての働き方が多い芸術家などが安心して仕事に取り組める仕組み作りの議論が始まっている。プロの演奏家として20年以上活動している越川歩さんを取材。フリーランスとしてオーケストラで演奏し中島みゆきさんのツアーに参加するなどしていたが、4年前に新型コロナで仕事が全てなくなり、約1年無収入であった。新型コロナが5類に移行した直後の去年7月に、芸術家などおよそ2万人に行ったアンケートでは6割以上の人がコロナ禍の年収が300万円未満だったと答えた。労災保険や雇用保険の適用がないと答えた人は6割から7割以上に上っている。越川さんの収入はコロナ前の約半分だという。前コロナをきっかけに浮き彫りになった芸術家などの不安定な経済基盤。社会保障の環境を整えることで変えられないかと議論が始まっている。アメリカでは災害や病気などで仕事ができない際、支援する非営利の法人があるという。専門家はフリーランスの人が加入できる保険をうまく活用することが重要だとしてその保険料の一部をイベントの主催者側が負担するなど新たな仕組みの整備が必要だと指摘。