2025年4月20日放送 9:00 - 10:00 NHK総合

日曜討論
(1)日米関税交渉 石破首相に問う (2)日米関税交渉のゆくえは

出演者
石破茂 伊藤雅之 星麻琴 石破茂 
(オープニング)
オープニング

アメリカの関税措置をめぐる日米交渉。第1部は日米関税交渉 石破首相に問う。第2部はトランプ関税 日米交渉の行方は。

キーワード
ドナルド・ジョン・トランプホワイトハウス石破茂赤澤亮正
(第1部)
初回交渉 成果と課題は/アメリカ側のねらいは/日本側の主張 伝わったか/“早期合意”どう進める

トランプ関税をめぐる日米交渉について。トランプ大統領が出てきたことについて石破総理は「意外だった。今月7日に電話で話した時にはベッセント財務長官を交渉役とするとしていたのでベッセントさんと赤澤さんだと思っていた」と述べた。直前になって、トランプさんがSNSで自分も出ると投稿したので「え~」という感じだったなどとも明かした。ただ、それだけ日米交渉を大事にしているということだろうとトランプ氏が出てきたことについて石破総理は推察。また、自分のリーダーシップで解決するという思いもあるのだろうとも指摘。交渉にはベッセント財務長官、グリア代表の他、ラトニック商務長官やウォルツ大統領補佐官も同席したとの情報もある。この顔ぶれから感じるアメリカ側の姿勢について、石破総理は「オールスターキャスト。最初の会談は大統領とでそれだけ本気だなという感じ」とコメント。赤澤大臣は「今後の日本からの投資やアメリカでの雇用への影響を踏まえると遺憾」だとして措置を見直すよう要求したが、日本の主張が相手に伝わったかについて、石破総理はわからないとした。今回の交渉で一致した内容としては、可能な限りの合意をし首脳間で発表できるように目指すこと、次回の交渉を今月中に実施すべく日程調整をすること、閣僚レベルに加えジムレベルでの交渉も継続すること。これを受けて、石破総理は、早期の合意といっても双方にとって望ましい結果でなければダメだとした。 

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Truth Socialアメリカ合衆国通商代表部ジェミソン・グリアスコット・ベッセントドナルド・ジョン・トランプハワード・ラトニックホワイトハウスマイケル・ウォルツ石破茂赤澤亮正
トランプ政権は何を重視/自動車 どう交渉/農産物 どう交渉/日米の“強い経済”とは/エネルギー どう交渉/安全保障 どう交渉/為替 どう交渉/アメリカの市場・世論は

トランプ大統領はこれまでも貿易赤字をゼロにしたい、製造業の復活などと述べているが、アメリカ側の優先順位は見えてきたのかと石破総理に質問。アメリカ側が何かを明確にしたわけではないが、1番は貿易赤字の解消だろうと推察。日米交渉を巡っては自動車や農産物など様々な論点にも関心が集まった。自動車についても交渉について石破総理はアメリカ側は日本にはアメリカの車は走っていないが、アメリカには日本の車がたくさん走っていると主張しているが、なぜ日本の車がアメリカで売れて、アメリカの車が日本で売れないのかを認識していく必要があると述べた。その上でアンフェアだと言われないようにはしていくと石破総理は述べた。農産物について、コメの価格が上昇しているがアメリカ産のコメの輸入について、日本の消費者が安くておいしいコメにアクセスできるようにすることと、厳しい条件の中にいる日本の生産者たちをどう両立させるかという問題だとした。その上で食の安全を譲るということはないとした。エネルギーについて、アメリカは4番目のシェアだとし、日本はエネルギー自給率が低いのでアメリカが新しいLNGを開発するとなったら日本はどんな協力ができるのかなどとも述べていた。 今後22日から加藤財務大臣が訪米しベッセント財務長官と為替分野の協議を行う方向で調整している。為替について聞かれた石破総理は発言することはしないと述べた。 

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米中対立 どう向き合う/各国との連携は/企業・家計への支援策は

米中対立をめぐり石破総理はGDPで1位・2位の国の対立は望ましいことではないが、トランプ大統領は中国からの申し出があると言及していると紹介し、関税競争が良いことなのか真摯に話し合いをしていくことになるのではないか、話し合いは重要になると言及。GWにもASEAN諸国を訪問していき、自由貿易のリーダーとしてASEAN・EUと歩調を合わせたいとしている。産業・雇用への影響については、具体的な影響は出ていないと見られ自動車だけでなく水産業なども影響を受けることが予想される中、全国に1000か所の特別相談窓口を設置し、資金繰りに付いての説明も進めたいとしている。所得税の2~4万円の税負担現を年末調整で行い、低所得者向けの1世帯あたり3万円・子ども1人あたり2万円の給付、重点支援地方交付金6000億円などの対応も取られていると言及。今後については与党・野党との議論を進めていき、物価上昇を上回る賃金上昇に向けて春闘が進めるとともに、すべての方々が納得の実感を持って頂く事が肝要としている。

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訪米のタイミングは

トランプ大統領との話をまとめるのは石破総理自らが話して決着をつける方針だと言い、早くから向かうのではなく濃密な議論をするために最適な時期に訪米したいとしている。カナダで行われるG7サミットも焦点となる見込み。

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アメリカカナダドナルド・ジョン・トランプ東南アジア諸国連合第51回先進国首脳会議
(第2部)
初回交渉 成果と課題は

英ロイター通信はアメリカとの交渉を進める日本について「ワシントン側に譲歩する意向があるかどうかを測る試金石」と評している。一方でオーストラリアの専門家は米産LNGや農産物で譲歩を迫られることになるのではないかと見ている。日米双方は可能な限り早期に合意し首脳間で発表できるように目指すこと、今月中に次回の交渉を調整すること、閣僚レベルに加え事務レベルでの交渉も継続することで一致している。宗像直子氏はいい雰囲気で交渉が行えているとみられるが、相互関税の上乗せ分は交渉の対象だが、一律財源は財源確保のためのものと見られ、分野別関税で産業が戻るようにする狙いがあることから、落とし所を探るのは大変としている。中林美恵子氏は焦ることはないが、トランプ氏が「急いでいない」と発言した背景には焦りが見られるのではないか、早く終わらせるためにトランプ氏自らが出てきたと指摘。ジョセフ・クラフト氏は同盟国であり交渉がしやすく、アメリカにとって重要な存在と考えられているとした一方で、最初の国は優先される一方でハードルを設けられることから厳しい交渉になるのではないかとコメント。中空麻奈氏は関税はGDPを下げインフレに繋がる対応となっているが、マーケットは半年のうちに終着点を見つけるとの見方から悲観視はしていないと言及。

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日本の交渉カードは/自動車 戦略は/農産物 戦略は/アメリカ側のねらいは/日米“ウィンウィンの関係”は

トランプ関税をめぐる日米交渉におけるテーマのひとつ「自動車」。アメリカから日本への輸出額は、輸出全体の1%あまりにとどまっている。車の安全基準の違いなどが議論となる可能性がある。2つ目のテーマ「農産物」。アメリカのUSTRは、先月公表した報告書で、コメの輸入や流通の仕組みを批判しているほか、小麦などについても輸出を妨げている壁があると指摘している。日本によるLNGの輸入量の拡大や為替分野についても焦点となっている。中空は、日本は、アメリカと同じことをやるのではなく、手を変え品を変え、結果的に得をする交渉をすればいい、自動車についても、関税率に直接アプローチするのではなく、付帯条件を盛り込んで、結果的に関税率を下げられればいい等と話した。クラフトは、2019年に締結した日米貿易協定を破棄して0からやるのか、あるいは日米貿易協定を軸に足していくのかによって交渉時間は変わってくる、アメリカは、協定のなかで、アメ車は買わなくていいから、そのかわりにアメリカに工場をつくるなど直接投資をしてくれれば対等に見るとしている、第1次トランプ政権で合意したもの、当時の交渉チームにいたのが、USTRのジェミソン・グリア氏、第2次トランプ政権で唯一、協定の交渉過程や内容を知っていて、重要な人物であるなどと話した。中林は、現政権は、1期目と違って、トランプ氏の好みの人が閣僚に起用されている、トランプ氏にアピールする内容を決めることがポイント、専門家が中心となる議論はアピールしない可能性があるなどと話した。宗像は、日本は最大の投資をして、アメリカの自動車産業に貢献していることをアピールするべき、日本の企業の体力を奪うと、そうした貢献の持続可能性がなくなるということをトランプ氏にわかってもらいたいなどと話した。

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アメリカアメリカ合衆国通商代表部ジェミソン・グリアドナルド・ジョン・トランプ日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定牛肉豚肉

農業分野をめぐる交渉のカギについて、クラフトは、今後、アメリカ側の要求が出てくる、そのなかで、日本としても合意しやすいカードを優先的に出していけばいいなどと話した。中空は、日本国内の構造問題を解決するきっかけにできればいい、譲れないものは絶対に譲ってはいけない、譲れるものを使って、トランプ氏が得をしたみたいに持っていければいいなどと話した。宗像は、トランプ氏がどこまで日本の農業の開放を求めているのかが焦点となるほか、交渉の外圧をうまく使いながら、結果としては日本の農業を強くできるといいなどと話した。中林は、今回、日本はある程度強い立場にあると考えられる、アメリカ国債の債権マーケットはかなり動揺していて収束していない、アメリカは為替の問題も抱えている、アメリカには、日本を協力相手にしたいという思いが水面下にある、トランプ氏は、コメであれ大きな点を稼げれば相当喜ぶのではないかなどとし、為替については、アメリカはマクロ経済で見るとあまりいい立場にない、日本はその点を考慮し、協力できるところは協力するというコミットメントをする必要がある、日米がバランスをとるところで合意できればウィンウィンの形を作ることができ、日本にとってチャンスになるなどと話した。宗像は、専門家は、関税について、ステップバイステップで予見可能性を保ってやったほうがいい、市場が落ち着いたところで通貨の問題に入っていくべきとしているが、最初のステップが朝令暮改で、マーケットが予見可能性が低いことに反応している、アメリカとしても落ち着いてやってほしいなどと話した。中空は、政治家は、マーケットはコントロールできるものではないことを認識するべき、市場は予見可能性がなければ動けない、予見可能性を高めるためにどうすればいいかを考えて、変なことはしないのが重要だなどと話した。クラフトは、スコット・ベッセントは強いドル政策を支持している、国際市場が不安定ななかでドル高是正を全面に出すと、国債がさらに売られかねない、そのため、関税協議から為替を切り離して、財務相間で裏で話したほうが市場混乱を招かないという判断が今回はあった、その判断は評価できるのではないかなどとし、トランプ氏のFRBに対する圧力については、一喜一憂しないほうがいい、法的にパウエル議長を解任することはできない、ベッセント財務長官もこうした発言が金融市場をさらに混乱させると、他の閣僚に助言している、トランプ氏は今後もFRBを批判するが、パウエル議長が辞任しない限り安心していいなどと話した。また、クラフトは、今回の交渉は、日米というより、トランプ氏・ベッセント氏・日本の交渉、ベッセント氏がトランプ氏と日本の橋渡し役になる、トランプ氏と日本の間に入ってうまく交渉を落とす役割があるなどと話した。中空は、狙っていることのうち一つでも成果が得られれば、トランプ氏は満足する、そこまで割り切って日本にとって何が大事かを考えていくことが重要である、カギを握るのはベッセント氏、ベッセント氏がいる限り、意外とまともな方向に持っていけるのではないかなどと話した。

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米中対立 どう向き合う/自由貿易体制のゆくえは/今後の交渉 展望は

トランプ大統領の関税措置は世界経済にも影響を及ぼしている。激しさを増している米中貿易摩擦。中国政府はトランプ政権による合わせて145%の追加関税に対抗し、米国への追加関税を125%に引き上げた。さらに国内の航空会社に米・ボーイング社の航空機を納入しないよう指示。米中対立に関して、中空氏は「マーケットにとって米国も中国も大事な国で両方とも落とすわけにはいかない。できるだけ尊重できるようにしつつ、時々は中国と手を組んだり、米国と手を組んだりと、賢く振る舞うことが日本には重要になってくる」等とコメント。自由貿易体制の行方に関して、宗像氏は「CPTPPのクリティカル・マスを追求して大きくするよりも高い質を維持することに注意していくべき。ASEANとの関係は大変重要。各国の課題解決に貢献するような役割を果たしながら貿易後押しを活発にしていくということが大事」等とコメント。トランプ大統領を変える力があるとすれば?との質問に関して、中林氏は「米国内だと思う。今回は関税戦争を仕掛け、結果を見ようとしている側面がある。つまり大きな社会実験であり、まるでギャンブルのような状況。これが成功する可能性もゼロではない。米国民が自分たちの生活にいかに自由貿易や世界との貿易が実はリンクされているのかということを実感することが非常に重要で、それさえ分かってくれれば今後また違う道を取る可能性もあり、トランプ氏の大実験に私たちも結果を見るというところに期待したい」等とコメント。

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アメリカドナルド・ジョン・トランプボーイング中国東南アジア諸国連合環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定
(エンディング)
エンディング

エンディング映像。

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