2025年3月9日放送 9:00 - 10:10 NHK総合

日曜討論
東日本大震災14年 これからの復興・災害への備えは

出演者
伊藤雅之 牛田茉友 
東日本大震災14年 これからの復興・災害への備えは
除染で出た土は/廃炉の見通しは

復興や住民の帰還に欠かせないのが除染と廃炉に向けた取り組み。政府と東京電力が定めた福島第一原発廃炉へのロードマップ。去年9月に核燃料デブリの試験的な取り出しを開始したことで、第2期から第3期へ入った。計画はすでに3年遅れ。2051年までに廃炉を終えるという目標は堅持しているが、具体的な道筋は見えていない。除染ででた土などの対応も課題。福島県内の除染で出た土などの量は約1400万立方メートル。東京ドーム11杯分にのぼる。現在福島県内の貯蔵施設で保管されていて、2045年までに県外で最終処分することが法律で定められている。国は、放射性物質の濃度が低い土地について、全国の公共工事などで再生利用した上で、残りを最終処分する方針。これについて福島県内の自治体からは、まずは県内の公共工事などで再生利用の受け入れを検討する必要があるという声も上がっている。

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東京ドーム東京電力福島第一原子力発電所

除染で出た土について。内堀さんは、除去土壌等の県外最終処分は中間貯蔵施設の受け入れという苦渋の決断を行った際、その前提として国が約束をし法律に定められた国の責務で必ず実現されなければならないとした。確実な実施に向け具体的な方針や工程を速やかに明示し進捗管理をしっかり行いながら国民の理解を深めるための取り組みを進めるべきだと考えている。伊藤大臣は「必ず実現させていくのはゆるぎのないこと。今後具体的な方針・工程を明示させていただき県民のみなさんに見える形で進捗管理し、国としても地域と一丸となって進めさせていただく決意で臨んでいく」などと述べた。廃炉に向けた工程について。内堀さんは、原発事故以降幾度も福島第一原発に行き廃炉の進捗状況を確認してきた。現時点に置いて、原子炉の内部の正確な状況が把握されておらず、燃料デブリの取り出し方法、その後の一時保管、県外処分の在り方等が明確になっていないなどと指摘。伊藤大臣は「まず安全でなおかつ着実に、止めることなく約束通りの日程を守ってできあがっていけるように真摯な努力を東京電力にも、政府としてもしっかりやってかなくてはならない」などと述べた。

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東京電力福島第一原子力発電所
必要な取り組みは

政府が復興に重点的に取り組むとする第2期復興・創生期間は、2021年度から始まり2025年度に終了する。去年政府は見直しを行い、原子力災害の被災地域については今後も中長期的な対応が必要で引き続き国が全面に立って取り組むとした。また、地震・津波の被災地域については、復興の総仕上げの段階に入っているとしている。柳井雅也は、産業の基盤になるようなものを整備していくと復元力の高い地域が形成されるのではないかと思うなどとコメント。伊藤忠彦は、現場主義を徹底して寄り添っていくようにする、目標に対して責任を貫徹する思いで対応するなどと述べた。内堀雅雄は課題について農林水産業を挙げ、生産基盤の復旧や農地の集約化などの取り組みを続ける、輸入規制撤廃に向けて政府において外交努力を続けることが重要などと話した。

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BCP宮城県岩手県気仙沼(宮城)石巻うまいもの石巻市(宮城)福島イノベーション・コースト構想福島県

岩手県・達増知事は、「みちのく潮風トレイル」は非常に評判がよくインバウンド環境・外国人観光客が増えていることが希望になっているなどと話した。宮城県・村井知事は、新たな働く場所をつくって人が減らないような地域をつくっていくことが非常に重要などと話した。柳井雅也は、伊藤大臣には水産業に力を入れて支援していただきたいと思っているなどとコメントした。伊藤忠彦は、機会をたくさん作る支援をしていこうと思っているなどと話した。

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2025年日本国際博覧会みちのく潮風トレイル宮城県岩手県復興庁
災害援護資金は

東日本大震災では被災者の生活再建のために災害援護資金として自治体が350万円を上限に貸し付けた。震災直後に借り入れた人は去年から完済期限を迎えているが、返済が難しくなっている人も少なくない。村井知事によると、宮城県ではまだ60億円ほどが未返済とのこと。阪神・淡路大震災では政令の改正により返済期間を延長したという。今回も政令の改正を国にお願いしているとのこと。伊藤大臣は「政府としては事情を受け止め、できる限り間に合う形で対応をとる」などと話した。

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宮城県東日本大震災災害援護資金阪神・淡路大震災
これからの復興は

これからの復興について。宮城県・村井知事は「復興はまだまだかかる。心のケアやコミュニティーの問題などについて永続的に支援を継続してほしい」、岩手県・達増知事は「引き続き心のケアへの支援をお願いしたい。また水産業の復活への支援もお願いしたい。災害を乗り越えてより良い日本になっていくよう岩手からも取り組んでいく」などと話した。伊藤大臣は「復興のノウハウを次世代に継承していけるよう取り組んでいく」、内堀知事は「福島の復興はこれまで以上に力強い取り組みが必要。十分な財源と枠組み、制度の確保を国に求めていく」などと話した。

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SARSコロナウイルス2宮城県岩手県復興庁阪神・淡路大震災
東日本大震災14年 これからの復興・災害への備えは

阪神・淡路大震災から30年。一方、発生から1年が過ぎた能登半島地震の被災地。死者549人中300人以上が災害関連死だという。相次ぐ災害に必要な備えについて考える。

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令和6年 能登半島地震災害関連死神戸(兵庫)阪神・淡路大震災
大船渡 山林火災は

大船渡の山林火災について。渕上市長は国に対し「現場の実態に合った具体的な支援をお願いしたい」と要望している。坂井防災担当大臣は「災害救助法と被災者生活再建支援法の適用を既に決めている。これに加えて激甚災害指定の見込みも発表した」などと話した。兵庫県立大学大学院・阪本教授は「被災者1人1人に寄り添って長い支援を続けていく必要がある」などと話した。

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令和6年 能登半島地震兵庫県立大学大船渡市東日本大震災渕上清激甚災害災害救助法被災者生活再建支援法
災害関連死は/避難所のあり方は

様々な災害が多発する中、避難のあり方を巡って課題となっているのが災害関連死。去年の能登半島地震で亡くなった人は549人。このうち災害関連死は321人。熊本地震では277人が亡くなり、このうち222人が災害関連死。能登半島地震で災害関連死が増えたことについて、阪本さんは被災後の生活環境が厳しかったのが一番大きな原因だとした。同時に沢山の人が被災する状況では避難所の数は足りないし、能登半島地震のときは道路の被害も大きく物を届けることが難しい状況だった。その中で避難生活を改善するために今回二次避難という形で地域を離れて避難生活することが行われたが、戻る見込みをお知らせできないまま避難生活を強いられて、その中で命を落とした方、戻れずにいる方もいるので、どこに避難しても支援が届く体制づくりや避難所の環境をよくできるようなマネージメントの仕組みなどが大事になってくるとし、それがまだできていないのが大きな課題だとした。柳井さんは、東日本大震災のときは一時避難所が転々とさせられた事実がある。仮設ができても家族が分断されたりする問題もあった。その後も復興公営住宅に移る段階でもコミュニティが崩されてしまう中で、徐々に孤独が増して行ったのが1つあるという。いわゆる在宅避難者という問題は統計がなく、必要な食料や医療を受けられずに亡くなる方もいたという。坂井大臣は「福祉的なケアを今後今まで以上に注意してやっていかなければならない。通常国会で災害に関して福祉という用語を入れて充実していく。在宅の方にも福祉的支援を含めて支援をすべきということで方向を変えていきたい」などと述べた。

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令和6年 能登半島地震平成28年熊本地震東日本大震災

政府は去年12月、能登半島地震を受けて避難所の環境について「被災者が過ごすスペース」「入浴施設」「女性用トイレ」を整備する目安などを示した避難所の環境を改善するための指針を示した。避難所の現状について、坂井大臣は「まだまだ改善が必要だという指摘はその通りだと思っている。早いタイミングで必要な設備・環境を整えられるように今後も努力していく」などと述べた。避難所に必要な視点について、阪本さんは「避難されてる方が尊厳ある生活が営めることが一番大事」などと述べた。避難所を運営するにはそれなりのノウハウが必要だが、それを持った方がとても少ないと指摘。行政職員も被災する中で、職員の方が運営するのは厳しいので、運営に長けたエキスパートを増やしていかないといけないという。外部支援以外にも、地域の人たちが避難所を運営できるような専門性を持ってもらう取り組みも必要。人の確保について坂井大臣は、災害対策で今まで十二分にできてなかった1つが平時の備えで、その1つが人材育成だという。政府も避難生活支援リーダー、サポーター研修などを行っているが、まだ十二分に参加してもらってるところまで行ってないので、この場を使って是非利用してもらいたいとした。災害NPOやボランティアの人たちがどこにいて、誰が信頼できるのかがわからず、役所の人が災害になったときに避難所運営をお願いしづらいという。それを事前に登録制度を作ってNPOなどと連携をとっていざという時にお願いできる関係づくりを進めていきたいとした。

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令和6年 能登半島地震石破茂
”事前防災”どう強化/災害対応の課題は

災害への備えをどう強化していくか。今政府が力を入れているのが事前防災。その一環として政府は被災した自治体の要請を待たずに支援物資を届けるプッシュ型支援を効果的に行うための備蓄拠点を全国8つのブロックに設ける。また、災害対策基本法などを改正する法案を今国会に提出している。法案では自治体に備蓄状況の公表を義務付けるほか、ボランティア団体の事前登録制度の創設や司令塔「防災監」を内閣府に新設するなどとしている。

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内閣府岩手県札幌市(北海道)熊本県福島県立川市(東京)高知県

災害への備えをどう強化していくか。事前防災の必要性について坂井氏は「ハード面で取り組みを行うのが1つ。今中期計画を作っているところで6月を目処に具体的な内容を発表したい。2つめはソフト面。備蓄の公表など。国から県へ、県から自治体への意思の伝達が今まで十分でなかったことを考え、4月から人を拡充し地域防災強化担当を決めてやりとりをすることをやっていきたい」などと述べた。事前防災の課題について柳井さんは「発災したときどう動くか根っこの部分が大事。各組織はリーダーが高齢化していたりと動かない組織が増加してきている。これをどう動かすのか。もう1つは人材育成。高校や中学校のカリキュラムにもビルトインし育てていくべき」、阪本氏は「被災者支援は市町村の責任が大きいが、市町村が避難所開設をすることになっているが故に都道府県は動きがなかったり国のサポートが難しい現状がある。どう互いに補えるのか。普段からコミュニケーションをとれるようにしておく事が大事」などと指摘した。政府は来年度中に防災庁を設置する方針を示している。宮城県の村井知事は「大きな災害があったときは防災庁に指揮命令系統を1本化してほしい」としている。坂井氏は防災庁の役割について「現状を見ながら足りないところを拡充していくことで検討していただいているものと思っている。防災庁設置準備アドバイザー会議ということで有識者の方からも声を頂いている」などとした。防災庁の役割について阪本氏は「広域で被害がわたる災害においてどうやって自治体間で格差が生じることなく調整をしていくのか。地域全体で災害対応をしていく仕組みづくりは防災庁の役割が欠かせない」、柳井氏は「防災庁が横櫛を通すような仕組みづくりを考えて頂きたい」などと述べた。坂井氏は「担当者をしっかり決め、市町村まで状況の把握を行い、各市町村の情報などを1つにまとめられるシステムなどを活用しながら進めていきたい。物流は今までも課題となっているのでしっかり防災庁につなげたいと思う」などとした。

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村井嘉浩東日本大震災聖光学院高等学校自衛隊赤澤亮正
これからの復興は/これからの防災は

柳井さんは「南海トラフ地震臨時情報をどう整備していくのか。プリミティブな情報をきちっと伝えるなどの検証をしてほしい」などと話した。阪本さんは「仕組み作りをやっていかなければいけない」などと話した。坂井さんは「事例の積み重ねをしていく努力をする。全体の現状の把握ができる仕組みを作る一方で、協力いただける方を事前に声掛けをして準備をしておく」などと話した。

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南海トラフ地震臨時情報南海トラフ巨大地震
(エンディング)
エンディング

エンディングの挨拶をした。

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東日本大震災

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