きょうのプロの眼のテーマは「日銀が物価目標達成の見通しを得るための条件」。物価目標達成に向け、条件は整いつつあるように見えるが、劔崎さんは「植田総裁は2つの力が物価上昇に作用していると示しており、第一の力が輸入物価の上昇が国内物価に及ぶ、第二の力が国内の賃金と物価が好循環で回る。”物価目標2%”の達成の見通しを得られるのは『第二の力』が十分に強くなった時と指摘している。これまではコアCPI前年比に対する財(生鮮食品を除く)と一般外食の寄与度が輸入物価との前年比と連動性が高いと言われており、6か月先行して推移している。コアCPIの第一の力は主に財価格で確認できる。一方でコアCPIの前年比に対する帰属家賃と一般外食を除いた一般サービスの寄与度と一般労働者の所定内給与の前年比との連動性があるというのがわかっている。コアCPIの第二の力は主に一般サービスで把握できるということだと思う。日銀が目標とするコアCPI前年比2%は、90年代前半と足元で比較すると良い。帰属家賃・一般外食を除く一般サービスの寄与度は90年代前半にはプラス0.6%ポイントくらいを推移していたが、足元ではプラス0.3%ポイントにとどまっている。ただ、今後、一般労働者の所定内給与前年比が足元の2%弱→3%強まで上昇すると、一般サービスの寄与度も90年代前半の水準まで上昇する可能性はある。日銀が物価目標達成の見通しを得るための最初の条件となると、一般労働者の所定内給与が少なくとも3%強に向かう可能性が高まることが重要となる」などと話した。
「来年の春闘のベア結果は一般労働者の所定内給与前年比3%強に向かう可能性を高めていくか?」との質問に劔崎さんは「その可能性は残念ながら低いと考えている。私は来年のベアは良くても今年から横ばいじゃないかと考えている。背景には4つほど挙げたい。1つ目には私の推計によると、今年にインフレ対応の賃上げが実現できた業種は主に輸出に反応しやすい業種とその他の部分で全体の55%程度を占めている。今年よりも来年は高まる可能性はあるが、これが一気に8~9割りと高まるのはおそらく難しいのではないかと思う。2つ目に今年の春闘が行われていたときのコアCPIは4%程度を推移していたが、おそらく来年1~2月には2.5~2%台後半まで低下している可能性がある。3つ目に私の集計によると、労働需給に反応しやすい業種は3割程度にとどまっているので、労働不足に伴う賃金の押し合いは多くの人が予想しているよりも単年度では限定的な可能性がある。4つ目は輸出に反応しやすい業種などは名目輸出の前年比との連動性があるということがわかっているが、足元では名目輸出前年比は低下しているので、こうしたことは輸出に反応しやすい業種への賃金への足かせになりかねない」などと話した。「物価目標達成の見通しを得るためには他にどんな条件が必要か」との質問には「今は賃金・サービスの話をしたが、それ以外に生鮮食品を除く財と一般外食にも賃上げに伴う押し上げ=財の価格の上昇が見られる必要があると考えている。2008年以降、輸入物価とコアCPIの寄与度の関係を見ると、輸入物価が0%整合的な寄与度はだいたいプラス0.3%程度。ただ、90年代前半はこの寄与度はプラス0.8くらいあったので、財の価格にも輸入物価が0であっても賃金上昇にのって寄与度が高まっていくということも見られる必要性がある。2つ目にmはCPIの中で16%ほどを占めている帰属家賃。こちらにも緩やかな上昇が見られる必要性があると思う。帰属家賃以外の一般的な物価が上がっていけば、基本的に帰属家賃もいずれは上昇することになるんだと思う。ただ、このラグが4年と非常に長いため、まだまだ帰属家賃が上がる兆しは現段階では見られていない。総合すると来年4月までに日銀が物価目標達成の見通しを得るというのは、私は少し難しいと思う」などと話した。
「来年の春闘のベア結果は一般労働者の所定内給与前年比3%強に向かう可能性を高めていくか?」との質問に劔崎さんは「その可能性は残念ながら低いと考えている。私は来年のベアは良くても今年から横ばいじゃないかと考えている。背景には4つほど挙げたい。1つ目には私の推計によると、今年にインフレ対応の賃上げが実現できた業種は主に輸出に反応しやすい業種とその他の部分で全体の55%程度を占めている。今年よりも来年は高まる可能性はあるが、これが一気に8~9割りと高まるのはおそらく難しいのではないかと思う。2つ目に今年の春闘が行われていたときのコアCPIは4%程度を推移していたが、おそらく来年1~2月には2.5~2%台後半まで低下している可能性がある。3つ目に私の集計によると、労働需給に反応しやすい業種は3割程度にとどまっているので、労働不足に伴う賃金の押し合いは多くの人が予想しているよりも単年度では限定的な可能性がある。4つ目は輸出に反応しやすい業種などは名目輸出の前年比との連動性があるということがわかっているが、足元では名目輸出前年比は低下しているので、こうしたことは輸出に反応しやすい業種への賃金への足かせになりかねない」などと話した。「物価目標達成の見通しを得るためには他にどんな条件が必要か」との質問には「今は賃金・サービスの話をしたが、それ以外に生鮮食品を除く財と一般外食にも賃上げに伴う押し上げ=財の価格の上昇が見られる必要があると考えている。2008年以降、輸入物価とコアCPIの寄与度の関係を見ると、輸入物価が0%整合的な寄与度はだいたいプラス0.3%程度。ただ、90年代前半はこの寄与度はプラス0.8くらいあったので、財の価格にも輸入物価が0であっても賃金上昇にのって寄与度が高まっていくということも見られる必要性がある。2つ目にmはCPIの中で16%ほどを占めている帰属家賃。こちらにも緩やかな上昇が見られる必要性があると思う。帰属家賃以外の一般的な物価が上がっていけば、基本的に帰属家賃もいずれは上昇することになるんだと思う。ただ、このラグが4年と非常に長いため、まだまだ帰属家賃が上がる兆しは現段階では見られていない。総合すると来年4月までに日銀が物価目標達成の見通しを得るというのは、私は少し難しいと思う」などと話した。