今年度の最低賃金について議論していた厚生労働省の審議会は昨夜決着し、物価の上昇が続いていることなどを踏まえ、過去最大となる時給で50円引き上げる目安でまとまった。全国平均の時給は1054円となり、これまでで最も高くなる。最低賃金は企業が労働者に最低限支払わらなければならない賃金で現在の時給は全国平均で1004円。昨夜、労使双方が参加した審議会が決着し時給で50円、率にして5%引き上げるとする目安でまとまった。引き上げ額は去年の43円を超えて過去最大。地域別では東京や大阪などのAランク、京都や静岡などのBランク、山形や鳥取などのCランクのいずれの地域も50円の引き上げとした。各地域でこの目安どおりに反映された場合、全国平均の時給は1054円となり、これまでで最も高くなる。引き上げに当たっては価格転嫁が十分にできていない企業があることを踏まえたうえで頻繁に購入する生活必需品の消費者物価指数が平均で5%を超えるなど物価の上昇が続く中で最低賃金に近い水準で働く人の生活への影響に配慮したとしている。また、5%を超える高い水準の賃上げとなった春闘の流れを維持し、非正規労働者や中小零細企業にも波及させることも重視したとしている。今回の目安を基に今後、都道府県ごとに審議会で労使の話し合いが行われ、来月には各地の最低賃金が決まり、10月以降順次適用される予定。専門家は「労働者の生活水準を下支えする効果が期待できるとする一方で企業の人件費の負担が懸念される」と指摘する。