柔道金メダル最有力候補、阿部詩。この日行っていたのは雑誌の撮影。赤い花を身にまとったゴールドのドレスや大人っぽい黒のワンピースなど、衣装は全部で9パターン。詩を撮影するのは世界的写真家、レディガガや安室奈美恵をカメラに収めてきたレスリーキー。パリオリンピックの顔として大会直前に発売される雑誌の表紙を飾る。今月5日、オリンピック壮行会。そこに兄、一二三はいたが詩の姿がない。翌日、道場を訪ねてみると壁際に横たわる詩。体調がすぐれずしばらく休んでいたため、この日は5日ぶりの稽古だった。パリ本番を前に金メダリストならではの苦悩を明かした。16歳のシニアデビューから数々の勝利を重ねてきた詩。しかし、記憶に刻まれているのは海外選手に敗れた2019年のグランドスラムの決勝。この試合で対海外選手の連勝記録は48でストップ。詩の連勝記録を止めたのはフランス代表、ブシャール。世界選手権では3大会連続メダリスト。2人の試合はいつも接戦。延長戦で勝ちきるため詩が取り組んだのは心肺機能の強化。走ること以外にも柔道に似た動きを用いてスタミナを鍛えてきた。迎えた東京オリンピック決勝で金メダル。次なる戦いの舞台はブシャールのホーム、フランス。