認知症で母語がえりとなる前からサポートし、医療や介護のサービスにつなげる取り組みが始まっている。京都市のボランティア団体。市の助成を受け、韓国語や英語などができる人を含め20人ほどが外国にルーツがある高齢者の生活を支援している。日頃から自宅を訪問する見守り活動や通院や介護の付き添いなどを行い、担当する高齢者の情報を集める。母語がえりが起き、本人が自分の希望をうまく伝えることができなくなったとき、スタッフがサポートする。この日、訪ねたのは野山南美子さん。40年ほど前に韓国からやって来た。このところ物忘れが増え、日本語での複雑な会話に不安を覚えている。半年に1度受診している整形外科にやって来た。体のどこが痛いのか、野山さんが説明しきれないことをスタッフが補う。診察の結果、後日、レントゲンを撮ることになった。この団体は今後も外国にルーツがある高齢者の支援を続けていくとしている。母語がえりの事情に詳しい関西医科大学の李教授は「日本で暮らすフィリピンやブラジル、ペルーなどの南米、米国などにルーツを持つ人たちも高齢化している。今後はこうした人たちの認知症、母語がえりの増加が想定される」としている。また、認知症専門医の清水教授によると海外で暮らす日本人の中にも認知症になり、日本語に母語がえりするケースがあるという。政府は外国人や外国にルーツを持つすべての人が安心安全に暮らせる社会を目指し、外国人支援コーディネーターを育成するなど、ライフステージに応じた支援を進めるとしている。