労働団体の連合が今年の春闘で大手との格差是正に向けて中小企業に賃上げ目標6%以上を求めた。しかし民間調査会社のアンケートでは賃上げすると答えた中小企業のうち6%以上と回答したのは1割未満に留まった。従業員が100人余りの麺類の製造販売会社では神田広人社長が4%の賃上げを宣言している。新たな人材を確保し競争力を保つためには欠かせないと考えたという。賃上げのために小麦粉など原材料の値上がり分を取引先に受け入れてもらい、今後は賃上げ分コストを商品に転嫁することが課題となっている。国が全国に設置している“よろず支援拠点”の担当者と今後の対応策を相談している。また賃上げにつなげるためオリジナル商品のネット通販や海外展開など新たな収益の柱も模索している。神田社長は「6%賃上げ目標は“そんなに簡単にいわないでよ”という感じ。でもその目標に向かった少しでも持っていければいい。中小企業も変わらなければいけない」と話す。東京商工リサーチ情報本部・原田三寛部長は「賃上げ率に差が出ると格差がより拡大し、中小企業の人材確保が難しくなるおそれがある。ポイントは中小企業の“稼ぐ力”の改善。支援や助成をどう活用するか検討する必要がある」と指摘している。