午前中の東京証券取引所は歴史的瞬間を捉えようと取材陣がカメラを構えていた。岩井コスモ証券の八木利通副本部長は過去最高値を更新するということについて、私からしたら長かった、34ね、35年は長かったなどと話していた。本間大樹東京コールセンター長は、バブルを知らない世代だと言う。株価は午後に入り再び上昇する場面があったものの、その後値を戻す展開になり、静かに取引終了の時刻を迎えた。1988年、欲望が渦巻いていたバブル期。その後泡ははじけ、日本は失われた30年と言われる時代に突入する。時を経て、再び上がってきた株価。その声質はバブル期のものとは違うというのが経済界の見方。野村証券の柏原悟志担当部長は、価格の水準は史上最高値近辺だが、全然企業の体力というか稼ぐ力が違ってきているので、今は高所恐怖症的な感覚はない、むしろ海外投資家はまだ安いと思って買ってきていると思うのでリスクはないかな、とコメントした。生命保険協会の清水博会長は、金融市場だけの動きで株式市場が上がっているのではなく、実際に企業の賃上げとか 、こうしたことが背景になっていると語る。ただ、東京・新橋駅前で話を聴くと、実感はあまりないという。実質GDPは2四半期連続のマイナス成長となっている。名目GDPはドイツに抜かれて世界4位に転落。物価上昇に給料アップが追いついていないというのが日本の経済状況。野村総合研究所の木内登英氏は、株高のメリットを感じることができない、そういったタイプの株高なんだろうと思う、と指摘。物価上昇率が落ち着いてきて初めて賃金上昇率が物価上昇率に追いつく、そうなると個人の生活が安定してくる、そのタイミングは来年後半になるんじゃないかと思う、などと説明した。