関東地方の梅雨入りを前に都市を流れる川の治水対策について紹介。杉並区から中野区、新宿区にかけて流れる妙正寺川。その流域は昭和40年代から60年代にかけてたびたび氾濫し都は対策に力を入れてきた。治水施設が意外な場所にあると聞き都の担当者に案内してもらった。地下に広がっていたのは1万6000平方メートルの空間が広がる地下調節池。ふだんは空洞だが、大雨で川の水位が上昇すると水が流れ込む。一時的にためることで下流の水位上昇を遅らせる効果がある。ここから水を取り込み1時間50ミリの非常に激しい雨にまで対応。たまった水は雨が収まってからポンプで排水する。都内では12の調節池が地下に作られている。背景には都市ならではの事情が、豪雨災害が激甚化する中、都は複数の川の流域にまたがる大規模な地下調節池の整備を進めている。その場所はなんと交通の大動脈、環状七号線の地下なのだ。地下への入り口は西武新宿線野方駅の近くにあった。現在は中野区から杉並区にかけての4.5キロと練馬区での3.2キロが完成している。さらにこの2つのトンネルをつないで1つの巨大な調節池にすることで広い地域で水害のリスクを下げられると期待されている。工事はシールドマシンという円盤に900個ほどのカッターが取り付けられている機械で掘り進める。1時間75ミリの非常に激しい雨に対応、つながった調節池の運用は令和9年度に始まる予定だ。さらにトンネルを東京湾までつなげることで川から取り込んだ水を海に放出することも検討されている。都市を水害から守る地下調節池について治水に詳しい専門家は調節池の整備が進んだとしても氾濫への備えは一人一人が続けてほしいと指摘している。