テーマ「電力インフラ」。設備の経年劣化などが進み、日々の保守点検が一層重要になっている。一方で、点検を担う技術者の減少も課題となっており、今この点検の眼を増やそうと新たな取り組みが広がりを見せている。スマホアプリ「ピクトレ」のユーザーはゲーム感覚でマップを参考に電力インフラを探して撮影する。獲得したポイントに応じ、アマゾンギフト券などの報酬が得られる仕組み。設備に異常があると感じた時は、運営会社に報告。アプリのユーザーは、現在1万人で多くの眼を活用し、インフラの維持に役立てる。東京都では、去年7月に実証実験が開始されたが、数時間で対象となる電力インフラ1万2000基のうち9割の撮影データが集まった。アプリは東京電力パワーグリッドなど3社が開発。電力インフラの数は増加していて、電柱だけでも少なくとも3400万本あるとされている。高度経済成長期以降に整備されたものが多く、経年劣化が課題の一つに。東京電力管内だけでも、約600万基の電柱があり、このうち年間5万2000基の更新が必要だとしている。設備の点検がより重要になる一方、現役の技術者の減少が課題となっている。東電は、路上機器や電柱などの点検を毎日5000基以上実施。経年劣化に加え、車による損傷など、さまざまなトラブルも多く、一般の人からデータを得ることで、点検の効率化を図る。