ことし11月、東京をメインに開かれるデフリンピックではデフサッカーも行われ日本代表も出場する。デフサッカーの選手たちは補聴器を外してプレーするため声は聞こえないがそのほかのルールは通常のサッカーとほとんど変わりない。聞こえないことを強みに変えて勝利を目指すチームを追った。先月行われたデフサッカー日本代表の練習試合。白いユニフォームの日本代表の選手は健常者の大学生を相手に互角の戦いを見せる。声が聞こえない分、手話やアイコンタクトでコミュニケーションを取る。選手どうしで連係を取るのは簡単ではない。チームの指揮を執るのは元Jリーガーの吉田匡良監督。監督に就任したのは聴覚障害がある小学1年生の息子がきっかけだった。息子と生活する中で耳が聞こえないことを個性と捉えることでチームがより成長すると考えている。デフサッカーでは耳が聞こえない分、選手どうしの距離が離れて連携が取りづらくなるのが課題。この課題を克服しようと吉田監督は試合中、番号で戦術を共有をすることにした。番号ごとに選手がどの位置に集まってプレーするかを決めていて、1は前、2は中盤、3は後ろとチームで認識を共有している。監督が指で示した番号を選手が目で見て確認することで課題となる連携をチームの強みに変えようという。九州の強豪で、健常者の大学生との練習試合では戦術の徹底を図った。しかし、連携がうまく取れず前半だけで4失点。吉田監督はハーフタイムで周りを見ることを徹底するよう伝えた。そして、後半。吉田監督は前に集まる1の戦術をチームに共有した。指示を見た選手たちは一体となって前からプレッシャーをかけた。副キャプテンの古島啓太選手も仲間と連携してボールを奪いに行く。そして、チームは相手陣地でボールを奪うと見事、得点。後半は互角の戦いを演じ、チームは手応えを感じていた。吉田監督は去年、日本代表の監督に就任してアジア大会で優勝を果たした。チームはデフリンピックを見据えて来月2日、東京国立競技場でJリーグ入りを目指す強豪との練習試合に挑む。