江戸時代から続く神奈川・大磯町の東光院。5年ほど前から葬儀会社が関わらない葬儀を行ってきた。住職の大澤さんは、「なるべくご家族には亡くなった方と向き合う時間を大切に持っていただきたい」などと話す。遺族から亡くなったという連絡が入ると、ご遺体を寺に搬送。復元納棺師の元で保存や修復など専門的技術を習得してきた古井さん。生前の面影を取り戻すために死化粧も施していく。なぜ住職たちがここまでするようになったのか。8年前寺を継いだ大澤さん。当時は葬儀会社から頼まれてお経をあげるだけだった。きっかけとなったのが、葬儀会社と遺族との打ち合わせに参加した時、亡くなった方に対してのお気持ちがすべて金に変えて換算していくという作業になっていると感じたという。いかに遺族が安心して故人を見送れるか、誰もが葬儀を行えるよう営利事業ではない形にした。棺や骨壺などの費用は仕入れ値だけを負担してもらう。葬儀会社が行う家族葬の金額は、全国平均で約105万円。大澤さんの寺では明細を全て公開。家族葬の場合、会食や引き物、火葬費も合わせて30万円余り。このほか、遺族の意思でお布施を収めてもらう。遺族の負担を少しでも減らそうと試行錯誤も重ねてきた。今高齢化で死亡者数が増え、火葬までに時間がかかり保全のためのドライアイスの費用が増えているため、何度も使える冷却装置を使用。故人と最後の時をゆっくり過ごしたいという思いに応えるため、遺族の自宅を訪れた。喪主の三橋さんは2年前、父親の葬儀を大澤さんに頼んだ後檀家になった。5日後、寺の本堂で葬儀が行われた。寺が去年1年間で行った葬儀は55件。葬儀などをきっかけに、檀家の数も毎年30件以上増えている。地域の中での寺の役割、そして弔いの意味。大澤さんはこの取り組みを通じて考え続けていきたいという。大澤さんは今年中にもNPOを立ち上げて、お寺の宗派に関係なく地域の誰もが葬儀を行えるようにしたいと考えている。
住所: 神奈川県中郡大磯町大磯1525
URL: https://toukou.in/
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