介護サービスにかかる費用は今年度は予算ベースで13兆8000億円、それが機械的な試算で2040年には約26兆円になると推計されている。このままでは財源が確保できなくなる恐れがある。いま介護保険サービスの費用は高齢者が自己負担する利用料、40歳以上が支払う介護保険料で賄われている。今回厚生労働省はこのうち高齢者の自己負担の引き上げを議論してきた。高齢者が介護サービスを受けた場合の自己負担は2000年には年収に関わらず1割負担だった、しかし2015年からは一部の人は2割負担に。さらに2018年からは3割負担という枠組みも。現状では1割負担の人が91.8%。厚生労働省は制度を維持するためには自己負担の引き上げが必要だとして現在は1割を自己負担している人の中から2割負担してもらう人を増やす案を検討してきたが、今回は見送ることに。物価高の中で高齢者の負担が増えることへの影響を慎重に検討する必要があるためだという。今回の見送りの方針について専門家は「利用する高齢者にとっては非常に安心できる材料になるが財務には不安がある」などとしている。介護保険制度の見直しは3年に1度行われていて、高齢者の自己負担を引き上げるかは次回の議論で再び検討されるとみられる。