東京・新宿区の新宿区保健所。FAXで送られてくる感染症の発生届を職員が手作業での情報入力に追われていた。コロナが大流行していた頃、全国の保健所では発生届がFAXで大量に送られてきて業務が逼迫。国はオンラインシステムを導入しデジタル化で負担軽減を図った。オンラインシステムは、新宿区保健所でも当時医療機関の8割以上で使用されていたがいまは1割にも満たない状況。なぜ再びFAXなのか。以前、システムを利用していた都内のクリニックで理由を聞くと、診療に使う電子カルテとシステムが連動せず、別途再入力する必要があるため。クリニックの濱木珠恵院長は、紙でささっと終わらせたほうが他の患者さんを診られる、今のところメリットを感じていないと話していた。東邦大学の舘田一博教授は「なかなか日頃使ってないと難しい、国が財政的なインセンティブであったりマンパワーにおけるサポートであったり、いろんな戦略を工夫しながら進めていくということが大事」と指摘していた。