3年前に国のワクチン研究拠点の一つに選ばれた千葉大学で、飲むワクチンの開発が進められている。いま実用化を目指しているコレラワクチンはコメが原料になっている。研究を行っている清野宏卓越教授は「既存のワクチンは駐車型も含めて冷蔵冷凍保存しなければならない。冷蔵冷凍保存が不要なワクチンを開発するのはとても重要。米は常温で長期保存できるところに着目した」と話す。冷蔵保存が不要で輸送や保管費用も安く抑えられるため、コレラが課題となっている発展途上国などで使いやすいという。またコメの中にあるタンパク質貯蔵体がワクチンの成分を胃や腸の消化酵素から守りながら体内に届ける役割を担う。千葉大学の栽培施設では企業と共同で実用化を見据えた研究が進んでいる。稲は遺伝子を組換えているため、研究施設内の隔離された環境で厳重に管理されている。栽培には人工の光が必要で電気代などのコストが課題となっていた。そこでLED照明を採用し、LEDの光でよく育つイネをセンバツして安定した量のコメを収穫できるようになった。今年は新たな研究拠点が千葉・柏市に完成する予定で、これまでの約2倍の面積でコメを栽培し、ワクチンの成分にするまで一貫して行うことができる。来年には健康な人を対象に治験を行い、実際に体内に交代が作られるかを確認する。清野教授は「将来的にはほかの感染症にも応用していきたい」と話す。