栃木市は人口約15万人の都市で蔵造りの家屋が残り、市内を流れる巴波川では遊覧船が航行。栃木駅から徒歩10分の場所にある「玉川の湯」は創業136年。風呂場に金魚の水槽があることから金魚湯と呼ばれている。銭湯で回数券を差し上げる代わりに家を見せてもらう企画を実施。出会ったのは別井やすのりさん(67)。車に同乗させてもらい家までついて行った。食品会社を定年後は派遣会社の送迎をしているという。午後5時30分に帰宅。築27年の持ち家で間取りは6K。ピアノがあり、ザ・ビートルズ「The Long And Winding Road」を弾いてくれた。ギターも上手で弾いていると息子・はやとさん(27)が帰宅した。部屋には地図が貼ってあり、これまで訪れた場所にピンが刺さっていた。出張で訪れた埼玉県戸田市で食べたラーメンが美味しかったと思い出を語ってくれた。現在の住まいは増築した離れ。旧宅も見せてもらった。9年前まで両親が居住していたという。蔵の中にあった約100年前の時刻表を見せてくれた。はやとさんが6年生の時に両親の別居が始まり、高校3年まで別々に暮らしていたという。やすのりさんと妻は20歳差。関節リウマチと糖尿病を患うやすのりさんの母を妻が介護していたが、妻とやすのりのさんの父がケンカして出て行って離婚。やすのりさんは元妻の頑張りに気付けなかった後悔を語った。はやとさんは母に内緒で父と会っていたという。妻は2019年に子宮頸がんになって亡くなった。娘がまだ高校生だったのでやすのりさんに親権を移すため連絡を取るようになったという。はやとさんがスマホに保存していたやすのりさんが妻に贈った最後のピアノ演奏の映像を紹介した。最初に演奏してくれた「The Long And Winding Road」だった。いつも同じ曲やってると言われていたという。久しぶりの電話から2カ月後、妻は41歳で亡くなった。部屋には東尋坊の帽子があった。子ども2人と訪れたという。玉川の湯で別井さんの家について行ったら…元妻への後悔を棟に子ども達との空白の時間を埋める男性の話が聞けました。
