台湾籍の元日本兵である呉正男氏は復員後に外国人として扱われ、法政大学を卒業後、横浜中華街にある銀行に勤めた。実は役所で日本国籍の取得を申請しようとしたが、「認可が下りないこともある」と言われ、思わずムッとしたという。1974年、インドネシアで台湾出身の日本兵が発見された。終戦を知らず、ジャングルを彷徨い続けていたといい、日本政府は未払い給与などの名目で6万円ほどを渡し、台湾へ送還した。その後、台湾出身の元日本兵らは軍人恩給などの補償を求めたが、認められなかった。呉氏も日本籍がないため、補償を受けていない。政府は「戦後なのでお金がない」、「そんな法律はない」、「そんなことがあったんですか?」と台湾籍の元日本兵を冷遇した。