NTTドコモは、海外事業を統括する新たな会社、NTTドコモグローバルを設立すると発表した。低いコストで整備できる新たな通信網で新興国などでのシェアを拡大するねらいがある。NTTドコモが開発を進めている新たなモバイル通信の仕組みの一つ、オープンRAN。携帯電話向けのアンテナやサーバーは1社の機器で揃えるのが一般的だが、オープンRANは複数のメーカーの機器を接続できるのが特徴。メーカー間の価格競争を促すことなどで標準的なネットワークと比べてコストを最大3割、削減できる。現在、世界の基地局のシェアは中国のファーウェイがおよそ30%を占め、トップを走っている。ただ、経済安全保障の観点からファーウェイを規制する動きは米国やヨーロッパで広がっていて、低コストで整備できるOpenRANは、ファーウェイの寡占化に対抗する仕組みとして注目されている。先月開かれた日米フィリピンの首脳会談でもフィリピンでのオープンRANによる通信網の整備を協力して進めることで一致した。こうした経済安全保障の動きを追い風に、NTTドコモは新たな会社の設立で海外展開を拡大させるねらい。