EU・ヨーロッパ連合、全体の方針を決める法案を採決するヨーロッパ議会。その選挙が6日から9日にかけて加盟する27か国で行われた。今回の選挙で争われたのは720議席。人口に応じて国ごとに議席数が割り当てられている。選挙ではEUの政策を主に支えてきた中道右派や中道左派などの3大会派は過半数を維持する見通し。その一方で移民や難民の流入が続く中、EUに懐疑的な右派や極右の政党が所属する2つの会派が計130前後と、改選前に比べて議席を増やす見通し。また、この会派に入っていないドイツの右派政党も議席を増やす見通し。フランスではEUが統合を進めて強い権限を持つことに反対する極右政党「国民連合」が、マクロン大統領率いる与党連合に獲得議席で倍以上の差をつけて大勝する見通しとなった。国民連合を率いるマリーヌ・ル・ペン氏は「国民は意見を表明した。歴史的な投票結果は国民の勝利だ」と発言。これを受けてマクロン大統領は急きょテレビ演説を行い、議会下院に当たる「国民議会を解散し、今月末に選挙を行う」と明らかにし国民に支持を訴えた。国政選挙で勝利することで極右政党の影響力を抑えたい狙いとみられる。ただ現地メディアからは「選挙までの期間が短く、国民連合などが票を伸ばし大統領の出身母体と異なる政党が議会下院の多数派を握るねじれの状態になる可能性もある」として、危険な賭けだという指摘が出ている。マクロン大統領が選挙を行うと決断したことについて。専門家は移民の流入増加に対する国民の不満、エネルギー価格の高騰による生活困窮などを背景に極右政党が伸張しているなどと述べた。