暑くなると、口の中を殺菌する唾液が減ってしまいがち。そんな季節に増加する病気が、細菌感染により歯茎が腫れ歯が抜けることもある歯周病。世界で最も患者数が多い病気ともいわれ、厚労省によれば日本人の約半数に歯周病がみられるという。歯周病の対策は歯垢などを定期的に除去するしかなかったが、去年実用化され全国360以上の歯科医院が導入する、たった1回で歯周病菌を撃退する治療マシンがあるという。開発したのは東北大学大学院歯学研究科の菅野太郎教授で、歯科医と研究者の2つの角度から歯周病を30年以上研究してきた。厚生労働省承認の歯周病治療機器「ブルーラジカルPー01」は、活性酸素によりこれまで歯周病菌の撃退を難しくさせていたバリア「バイオフィルム」を破って殺菌を行うことができる。予防治療はもちろん、歯周ポケットが深くなった重症患者でも治療が可能になった。菅野教授は、超極細の「金属チップ」という器具の開発に苦労したという。航空宇宙から医療機器までの部品を手掛ける町工場で、職人の手作業で1本あたり2時間かけて作り上げている。自由診療のため歯1本につき1万5000円程と治療費は高めだが、ほぼ1回の治療で終わるため導入が広がっている。