80年代までは、専業主婦の世帯が共働き世帯を大きく上回っていた。その後、女性の社会進出が進み共働きが主流になった。こうした社会の変化を受け年収の壁について歴代の総理も見直しに言及。しかし、壁は崩れなかった。中でも批判があったのは、130万円の壁となっている社会保険料の支払い。共働きやシングルマザーは自己負担にもかかわらず、サラリーマン世帯の専業主婦の保険料は社会全体で負担している点が問題だと指摘されていた。民主党政権で厚労大臣を務めた小宮山洋子氏は「共働きの人もシングルの人もみんなでサラリーマンの妻の保険料を払っている。どう考えてもおかしい」と語った。この制度を巡っては、2000年代初頭、厚労省の有識者会議で女性の就業を抑制、制度が邪魔をして就業や賃金における男女格差が固定などと繰り返し批判され、見直しが提言されてきた。2009年に政権交代した民主党は、マニフェストに新しい年金制度を作ることを盛り込んでいた。その後大臣に就任した小宮山氏は制度の見直しに取り組んだが、民主党政権が短命に終わり、年金改革の機会は訪れなかった。