台湾の頼清徳総統はきょうで就任から1か月となるのに合わせ、みずからがトップを務める委員会を設置すると発表した。委員会では、台湾の発展戦略を立案するとしていて中国に加え野党の圧力も強く受ける中、具体的な成果を出せるかどうかが問われることになる。頼総統は就任から1か月となるのを前にきのう記者会見を開き、気候変動、社会の強じん性、健康促進をテーマとして台湾の発展戦略を立案する3つの委員会を設置し、みずからがトップを務めると発表した。民進党政権は来年までにすべての原子力発電所の運転を停止する計画だが、産業界や野党からは見直しを求める声が強く、頼総統は気候変動の委員会で議論する考えを示した。また、社会の強じん性の委員会では物資の準備と流通のシステムやインフラの強化などを全面的に点検するとしていて自然災害のほか、いわゆる台湾有事への備えを急ぎたい考えと見られる。頼総統の就任直後から中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を行い、野党が多数を占める議会の権限を拡大するための法案が可決されるなど内外の圧力は強くなっている。民間団体「台湾民意基金会」の世論調査によると頼総統の政権運営に賛同する人の割合は就任直後の58%から先週には48.2%に下がっている。頼総統は記者会見で「社会との意思疎通を強化し、政策の実行を加速したい」と述べたが、具体的な成果を出せるかどうかが問われることになる。