先月28日に台風1号に刺激されて活発化した梅雨前線の雨雲が通過し、各地で5月の観測史上最大の雨となった。気象庁は前日に今年初となる線状降水帯の予測情報を発表した。これまでは地方ごとの発表であったが今回からは都道府県単位での発表となった。線状降水帯は海から水蒸気を含む暖かい空気が運ばれて積乱雲が連なって発生することで局地的な大雨をもたらす現象で、海から流れ込む水蒸気を正確に捉えることで線状降水帯の予測が可能になっている。
地上マイクロ波放射計を使うことで、これまでより高頻度かつ高精度に大気の状態が分かるようになった。気象庁は今年3月から、地上マイクロ波放射計で観測されたデータを日々の予報システムに活用している。陸上での水蒸気の観測網が構築されている一方で、水蒸気の発生源である海上の観測データは少なく、実態の把握には至っていない。およそ30年ぶりに新しく竣工した気象観測船「凌風丸」。先月29日、運用開始後初めて海の上の水蒸気を観測するため、九州地方に向かった。観測で重要な役割を担うのが衛星からの電波を受信する「GNSS」と呼ばれるシステム。衛星から発せられる電波は、大気中に水蒸気があると到達するまでにわずかな遅れが生じる。その遅れを計算することで水蒸気の量が分かる。更に近年は、その海上の水蒸気をピンポイントで観測しようという研究も進められている。名古屋大学と横浜国立大学で教授を務める坪木和久さんが取り組んでいるのは、飛行機を使った観測。上空から観測機器を投下し、気温や風速などのデータを集め、水蒸気量を割り出す。一昨年には、「大気の川」と呼ばれる大量の水蒸気の流れ込みを日本で初めて上空から観測。今年の夏にも観測を行う予定で、今後、線状降水帯の予測精度を更に上げることが期待されている。こうした陸海空からの観測だけでなく、将来、気象予測の切り札となり得る国家プロジェクトが立ち上がっている。JAXAが進めているのが降水レーダ衛星プロジェクト。雲を3次元スキャンするように観測することで、雨の強さなどを立体的に把握することができる。JAXAでは、雨粒の落下速度が観測できる世界初の性能を持つ新たな衛星を開発中で、2028年度の打ち上げを目指している。
地上マイクロ波放射計を使うことで、これまでより高頻度かつ高精度に大気の状態が分かるようになった。気象庁は今年3月から、地上マイクロ波放射計で観測されたデータを日々の予報システムに活用している。陸上での水蒸気の観測網が構築されている一方で、水蒸気の発生源である海上の観測データは少なく、実態の把握には至っていない。およそ30年ぶりに新しく竣工した気象観測船「凌風丸」。先月29日、運用開始後初めて海の上の水蒸気を観測するため、九州地方に向かった。観測で重要な役割を担うのが衛星からの電波を受信する「GNSS」と呼ばれるシステム。衛星から発せられる電波は、大気中に水蒸気があると到達するまでにわずかな遅れが生じる。その遅れを計算することで水蒸気の量が分かる。更に近年は、その海上の水蒸気をピンポイントで観測しようという研究も進められている。名古屋大学と横浜国立大学で教授を務める坪木和久さんが取り組んでいるのは、飛行機を使った観測。上空から観測機器を投下し、気温や風速などのデータを集め、水蒸気量を割り出す。一昨年には、「大気の川」と呼ばれる大量の水蒸気の流れ込みを日本で初めて上空から観測。今年の夏にも観測を行う予定で、今後、線状降水帯の予測精度を更に上げることが期待されている。こうした陸海空からの観測だけでなく、将来、気象予測の切り札となり得る国家プロジェクトが立ち上がっている。JAXAが進めているのが降水レーダ衛星プロジェクト。雲を3次元スキャンするように観測することで、雨の強さなどを立体的に把握することができる。JAXAでは、雨粒の落下速度が観測できる世界初の性能を持つ新たな衛星を開発中で、2028年度の打ち上げを目指している。