先月、開かれたパラクライミングの大会。この競技は、4年後のロサンゼルスパラリンピックで新たに採用されることが決まっている。視覚や身体に障害のある選手たちが、高さ15mほどの壁を6分以内にどれだけ高く登れるかを競う。視覚障害のクラスで世界選手権6連覇中なのが會田祥選手。その強さに迫った。大会を控えクライミングジムで練習を重ねる會田。目は光を感じられる程度で壁に設置されたホールドは認識できない。まず、登る前に案内役のサイトガイドからホールドの位置やルートを教えてもらう。サイトガイドを務めるのが田中星司さん。パリオリンピックで銀メダルを獲得した安楽宙斗選手も指導してきた。田中さんの声を聞きながら慎重に登っていく。會田は9歳のとき母の勧めでクライミングを始めた。先天性の目の病気で視力が失われていく中でも技術を磨き続けた。そして16歳のとき、世界選手権で初優勝し、そこから6連覇中。今は4年後のパラリンピックを見据えている。6分という限られた時間でいかに高く登るか。會田が用いるのが“手に足”というテクニック。手でつかんでいるホールドに足を乗せることで、足を置く場所を探す手間を省く。その動きを可能にする柔軟性とバランス感覚、そして持久力が會田の強み。迎えた全国大会(鳥取県倉敷市)。各地から40人の選手が参加。會田は最後のホールドまであと一手で惜しくも時間切れ。それでも優勝を果たした。