仮放免が解消されればクルド人の問題も減るはずと話す若者もいる。9歳で来日したギュルメルバンさんは、約14年間、仮放免で埼玉・川口市に住み続けてきた。不登校の時期を乗り越えて、次第に学校にもなじみ、大好きなサッカーを通じて仲間もできた。それでもギュルメルバンさんは「いつ収容されるか、いつ強制送還されるかわからない。将来を創造することができない」と語った。クルド人の窮状を広く知ってほしいと猛勉強を重ねて大学に進み、難民の問題を研究してきた。去年の秋、転機が訪れた。法務省は入管法の改正に伴う特例として、日本で生まれ学校に通う子がいる仮放免の家族などに在留資格を与えている。このことで仮放免から解放されたギュルさんは、夢に向かって一層勉強に打ち込んでいると話す。ギュルさんは「将来の夢はUNHCR=国連難民高等弁務官事務所で働くこと」と語った。