水道水などから検出され問題となっている化学物質「PFAS」。国が全国の水道水の検出状況を調査した結果が初めて公表された。PFASは有機フッ素化合物の総称で1万種類以上が存在するとされている。水や油をはじく効果がありフライパン、食品の包み紙などさまざまな製品に使われてきた。ただ一部の物質で発がん性などの有害性が指摘されている。岡山・吉備中央町では水道水からPFASが極めて高い濃度で検出されていたことが去年になって発覚。住民たちから憤りの声が。町は今週から、全国で初めて公費による血液検査を始めた。国は「PFAS」のうち有害性が指摘される2つの物質の合計を水道水1リットル当たり50ナノグラムとする暫定目標値を設定している。全国の水道水にはどれほど含まれているのか、きょう国が調査結果を初めて公表。昨年度までの4年間に東京・大阪・愛知など14か所で暫定目標値を超える濃度が検出された。最も濃度が高かった岡山・吉備中央町では2022年度に暫定目標値の28倍に当たる1リットル当たり1400ナノグラム。岐阜・各務原市では2021年度に11倍に当たる550ナノグラムが検出された。いずれもその後、水源を切り替えるなどの対応が取られ現在は目標値を下回っている。今年度検査が行われた1745か所では全て目標値を下回った。一方簡易水道を中心に全体の4割に当たる1528か所で検査を行っていなかったり、回答がなかったりしていて検査の徹底が課題となっている。PFASの排出源についても、ほとんど分かっていない。北海道大学・松井佳彦名誉教授は公表の判断は各自治体や水道事業者に委ねられているとしたうえで「健康に対する不安に応えていくためには単純に数字だけを公表するだけではなく数字の意味、位置づけ背景も含めて住民に丁寧に説明していくことがより理想的」としたうえで、その上で国にも求められる役割があるという。松井名誉教授は「市民に対して説明する時の資料、最新情報を提供していくことは大事。相談を受ける体制も求められている」と述べた。今回の詳しい調査結果は環境省のホームページで公開されている。浅尾環境大臣は記者会見で「暫定目標値を超過しているところはないというのは事実で対策が着実に進捗している」と述べている。一方で「PFAS」の排出源についてはほとんど分かっていないうえ全ての水道で検査ができているわけでもない。安心して利用できるよう引き続き調査と情報公開を徹底してほしい。