菊川駅から徒歩8分の「竹の湯」(江東区)で銭湯の回数券を差し上げる代わりに家について行かせていただけないか交渉。出会ったのは72歳のはつこさん。8年前に離婚して弟夫婦と2世帯で住んでいる。子どもは2人、孫も2人いる。2LDKの持ち家で築30年。洗濯物が干してあった。表に出すのは恥ずかしく部屋干し派。高校の同窓会の写真が飾ってあった。高校時代は銀座で遊んでいたという。冷蔵庫の中はぎっしり。作りすぎてしまったというピーマンの肉詰めを見せてくれた。トイレのドアには「お風呂の換気扇を消す!!」と書いてあった。換気扇をつけたまま寝てしまったことがあるためだという。長女・直子さん(52歳)は脳性小児麻痺。出生から生後4週間までの間に発生した脳への損傷で起きる運動機能と知能の障がい。生まれた時に早産・難産・仮死・未熟児だったという。現在は清瀬の施設で暮らしており写真が飾ってあった。寝室にはベッドが2つあった。長女が外泊で帰ってきた時に使う。帰ってきたときは美容院へ連れて行く。U.S.A.で踊る動画を見せてくれた。小中高はすべて支援学校で毎日5時半起きだった。当時は自分を顧みる余裕がなかったが、今になって振り返ると「なんでこんな人生だったのかしら」と思うと語った。アルバムには錦糸公園へお花見に行った写真があった。ハワイや韓国にも行ったという。40年以上にわたり長女の介護を自宅で続けたきたが、8年前から関節が悲鳴を上げ、3年前長女が49歳の時に介護施設に入れることを決意した。その時は本当に辛かったという。支援学校は18歳で卒業となり、その後に通った生活実習所の連絡帳が保存してあった。竹の湯ではつこさんの家について行ったら…長女の為に一生を捧げた女性の心から娘を想う気持ちが聞けました。