日本酒などに代表される日本の「伝統的酒造り」が、ユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まった。インドで日本酒を広めるため奮闘する日本人がいる。日本酒や焼酎などを作る技術伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まった。各地の気候や風土に応じて発展してきた伝統的な酒造り。福島で長年技術指導に当たり日本酒の神様と呼ばれている福島県酒造組合・鈴木賢二特別顧問は「杜氏が五感を駆使して作っていく芸術品みたいなもの。評価されたのはありがたいこと」と語った。長年受け継がれてきた酒造りは何度も大きな危機を乗り越えてきた。東日本大震災で被災した宮城・石巻市内の酒蔵からも喜びの声が聞かれた。墨廼江酒造・澤口康紀社長は「継承しているだけなので、先人たちに(登録されたと)教えてあげたい」と語った。しかし日本酒を例に取ると国内への出荷量は年々減少。グラフ「日本酒の輸出金額(農林水産省の資料から)」。酒造各社は海外に活路を求め輸出を増やしている。日本酒は今や世界の「SAKE」に。英国・ロンドン中心部にあるレストラン「Counter71」では、モダンブリティッシュ料理と日本酒を組み合わせて提供。米国・ニューヨークにはバーが併設された酒蔵も登場。和食の店以外でも日本酒を楽しむ人が増えている。14億人を超える世界最多の人口を誇るインドでも、いま日本酒の市場開拓を目指す動きが始まっている。アスクインディア・河合龍太社長は「7月に焼酎と日本酒を1万本ずつ日本から輸出している」と語った。山形県の米卸会社のスタッフが、インドで日本酒を広めたいとの思いから10月、日本食レストランで日本酒の試飲会を開いた。富裕層はもちろん、中間層が拡大し、食の多様化が進みつつあることで、飲酒の機会が増えているというインド。しかし、日本酒に関してはほとんど認知されていないのが実情。米卸会社・アスクは日本の農業技術を世界に広めようと、10年前からインドで日本米の生産を行ってきた。河合社長は「日本食材が正規で入ってこないことで、和食レストランが困っていた。相談を受けて加工食品、魚介類、お酒を正規輸入することに約4面前からチャレンジして」と語った。7月に日本酒のおいしさを損なわないように冷蔵コンテナでインドへ輸送し、今回の日本酒試飲会にこぎ着けた。