地震で多くの建物が被害を受け、広い範囲で断水が続くなどライフラインの復旧に時間がかかっている。谷内勝次さんは、家族5人で輪島市から加賀市に2次避難している。ただ悩んでいるのが、今後輪島市に戻れるのかどうか。夫婦が働く介護施設では休業が決まり、再開の見通しが立っていない。子育て環境も気がかりで、4月に長男の小学校入学が控える中決断を迫られている。不安を抱えながら地元に留まる人がいる。珠洲市の木挽芳紀さんは、海沿いの地区の区長。自分には地域を見守る責任があると、自宅裏の小屋で在宅避難を続けている。また祭りができるようになれば良いなと思っているが、ほとんど戻ってこないという声が多いという。一方当面の間地元を離れる決断をした人もいる。元々漁業者の吉浦翔太さんは、いとこが声をかけてくれて土木会社で働いている。父親と一緒に20年に渡り刺し網漁を続けていた。しかし水揚げしていた輪島港は、海底の隆起で推進が浅くなり船が出せない状態になり収入を断たれたという。家族を養うため、輪島の地を離れることを決めた。それでもいつか故郷で再び漁に出る日を信じている。故郷に戻らないと決断した人もいる。竹森昭洋さんは、白山市にある勤め先の酒蔵で生活している。自宅が被災し、一時農業用ハウスなどで家族7人避難生活を続けていた。他の家族はすでに妻の実家がある新潟市に移住。将来的に合流する予定だが、故郷への複雑な思いは尽きないという。