去年夏に海水温が上昇した影響で奄美群島のほとんどの海でサンゴの白化現象が確認された。白化現象はサンゴに共生して栄養を供給する「褐虫藻」と呼ばれる植物プランクトンが海水温の上昇などで失われる現象で、栄養を得られない状態が長く続くとサンゴは死滅する。奄美群島では地元自治体で作る協議会が毎年モニタリング調査をしていて、去年夏以降に行った調査結果が発表された。それによると、調査した118地点のうち111地点で白化現象が見られ、104地点で生きたサンゴが広がる面積を表す「被度」の減少が確認されたという。白化により死滅したサンゴの割合をみると、奄美大島全体では54.3%、沖永良部島の和泊町で60%、喜界島では9話地近くが死滅した海域もあったという。協議会によると、奄美群島では去年8月末まで台風の接近がなく、海水温の高い状態が長く続いたことが原因とみられるという。これからサンゴの産卵時期を迎えることから、地元の研究グループなどは生き残ったサンゴが弱っていないかや新たなサンゴが定着するかなど状態の確認を進めることにしている。