マーケット担当の長江記者が企業の今後を先読みする。今年に入ってからの株価上昇率トップ20をまとめた表を表示した。1-3月は中国の低価格AI「ディープシーク」の登場やトランプ関税の動きなど日本株には厳しい状況だったが、バンダイナムコHD・グリーHD・サンリオなどエンタメ関連は好調だった。株価上昇が目立ったもう1つは地銀。今回は3行がランクイン。きょうのテーマは「金利上昇が実は逆風?地銀再編の条件」。地銀はメガバンクと大きく状況が異なっている。そこで今回はその要因をみながら次に再編に動く地銀の条件を紹介する。金利引き上げに利ざやの改善が代表的なものだが、貸出金利の推移を見てみると都市銀行は大きく上昇しているものの、地銀・第二地銀は伸び悩んでいる。いまはネットバンクが牽引し、預金金利の引き上げ競争が激化しているため、貸出金利の上昇が伸び悩むと利ざやの改善効果が小さくなってしまう。地銀では資金需要があっても貸出金利を引き上げれば融資先の経営が厳しくなる可能性がある。そのため貸出金利を引き上げるためにも地銀が力を入れているのが事業のコンサルティングやM&A支援など付加価値の高い提案の強化。ただ、これが人件費の増加につながっている。地銀の人件費はここ数年減少傾向にあったが、コンサルティング人材の中途採用を強化する動きや賃上げが響いて足元で増加している。賃金増加は今後も続く見込みのため、人件費の増加に見合うだけの利益を生み出せるかが鍵となる。
金利上昇のリスクのもう1つは、国債を中心とした国内債券の含み損の拡大。全国の地銀が抱える円建て再建の評価損益の推移をまとめたグラフを見てみると、今年度に入って含み損が急拡大していることがわかる。しかも去年12月の日本の長期金利は1.1%前後だった。足元1.5%台まで上昇しているため、含み損はさらに膨らんでいる可能性がある。地銀はメガバンクに比べて収益源が限られているため、含み損をどう処理するかが今後の課題となる。今後の地銀の動向を見る上で注視する点について。再編に動く可能性がある地銀を探す上で指標となるのが「PBR」「配当性向」「自己資本比率」。各地銀はPBRをどのように1倍に近づけるかに苦心している。ベストなのは「稼ぐ力を高めること」だが、それには時間がかかるため短期的な施策として使われやすいのが配当性向の引き上げ。しかし地銀によっては配当性向より自己資本比率の引き上げを優先せざるを得ない場合もある。障壁となっているのが国際的な資本規制の「バーゼル3」。株式などのリスク資産の保有量によって自己資本を求められるもので、海外に営業拠点を置いているのか、国内に限った業務内容なのかにより必要とされる自己資本比率は変化する。きょうはPBRと配当性向・自己資本比率が低い地銀銘柄をまとめた。配当性向30%以下などの状況を改善するため、佐賀銀行は今月28日に発表した中期経営計画で配当性向と自己資本比率の関係を説明した。自己資本比率が8%に到達するまでは資本増強に努め、自己資本比率が安定的に8%を上回った際には累進配当や業績連動配当の導入を検討するとした。3月に発表された地銀の動きをまとめた表を見てみると、PBRや配当性向をまとめた表にも登場した香川県の第一地銀・百十四銀行は野村證券と金融商品の仲介業務で包括提携に向けて基本合意したと発表した。先週、静岡銀行の八木頭取は先週、経営統合の可能性について「何か起きたときにアライアンスが基軸になることはある。思いを共有できる仲間づくりがいま必要と思っている」と発言した。また、ファイブスター投信投資顧問・大木氏も「人件費など経費が増えると合併のメリットがでやすくなる。各地銀共通の過大なので提携を打診されたら検討するだろう」と指摘している。次はどこが動くのか、地銀の話題が多くなりそう。
金利上昇のリスクのもう1つは、国債を中心とした国内債券の含み損の拡大。全国の地銀が抱える円建て再建の評価損益の推移をまとめたグラフを見てみると、今年度に入って含み損が急拡大していることがわかる。しかも去年12月の日本の長期金利は1.1%前後だった。足元1.5%台まで上昇しているため、含み損はさらに膨らんでいる可能性がある。地銀はメガバンクに比べて収益源が限られているため、含み損をどう処理するかが今後の課題となる。今後の地銀の動向を見る上で注視する点について。再編に動く可能性がある地銀を探す上で指標となるのが「PBR」「配当性向」「自己資本比率」。各地銀はPBRをどのように1倍に近づけるかに苦心している。ベストなのは「稼ぐ力を高めること」だが、それには時間がかかるため短期的な施策として使われやすいのが配当性向の引き上げ。しかし地銀によっては配当性向より自己資本比率の引き上げを優先せざるを得ない場合もある。障壁となっているのが国際的な資本規制の「バーゼル3」。株式などのリスク資産の保有量によって自己資本を求められるもので、海外に営業拠点を置いているのか、国内に限った業務内容なのかにより必要とされる自己資本比率は変化する。きょうはPBRと配当性向・自己資本比率が低い地銀銘柄をまとめた。配当性向30%以下などの状況を改善するため、佐賀銀行は今月28日に発表した中期経営計画で配当性向と自己資本比率の関係を説明した。自己資本比率が8%に到達するまでは資本増強に努め、自己資本比率が安定的に8%を上回った際には累進配当や業績連動配当の導入を検討するとした。3月に発表された地銀の動きをまとめた表を見てみると、PBRや配当性向をまとめた表にも登場した香川県の第一地銀・百十四銀行は野村證券と金融商品の仲介業務で包括提携に向けて基本合意したと発表した。先週、静岡銀行の八木頭取は先週、経営統合の可能性について「何か起きたときにアライアンスが基軸になることはある。思いを共有できる仲間づくりがいま必要と思っている」と発言した。また、ファイブスター投信投資顧問・大木氏も「人件費など経費が増えると合併のメリットがでやすくなる。各地銀共通の過大なので提携を打診されたら検討するだろう」と指摘している。次はどこが動くのか、地銀の話題が多くなりそう。