岩手・一関市の小野寺ヨシ子さんが大切にしているのは、硫黄島で亡くなった父・佐藤忠志さんの出生前に撮影された1枚。忠志さんは昭和19年6月に生後1か月のヨシ子さんなど家族を残して戦地に赴いた。忠志さんは戦地から家族に宛てて手紙を書いており、生まれて間もないヨシ子さんの成長を願っていた。昭和20年2月、硫黄島にアメリカ軍が上陸し1か月余にわたって激しい戦闘が続き、日米計2万9000人近くが戦死した。忠志さんは3月17日ごろの戦闘で亡くなったという。ヨシ子さんは29年前に父の最期を知りたいと硫黄島を訪問した。ヨシ子さんの手元にある写真は26年前に初めて届けられたもの。当時のアメリカ兵が見つけて遺族が届けたという。写真の裏にはふるさとの住所と名前が記されていた。今年で戦後80年だが、忠志さんの遺骨はまだ硫黄島から戻っていない。ヨシ子さんは「なにがあっても戦争はしないように、平和を望みます」と語った。