知床半島は海岸線まで切り立った崖が迫る。活発な火山活動と大規模な隆起によって知床半島は誕生した。地下から吹き出したマグマが地上で冷え固まったものを火山岩という。ゴツゴツとした表面の火山岩はマグマが海中で急速に冷やされ固まったもので「水冷破砕岩」と言われている。非常に脆く深い亀裂が見られる。天敵から身を守るため幅20センチほどの小さな亀裂の中にアマツバメが生息している。無数の四角い柱が並んでいるような岩はマグマが少しずつ冷やされるうちに規則正しく並んだもので「柱状節理」と呼ばれている。柱状節理の平らな面を利用するのはオオセグロカモメだ。背中と翼が黒っぽい大型のカモメで、半島には生まれて2週間ほどの雛もいた。断崖絶壁の高い場所にはキツネなどの天敵がおらず、安心して子育てをできる。火山岩は海中にも広がっており、岩礁帯は広いところで幅200メートル、数キロに及ぶ。潮が引いた海辺にヒグマがやってきた。オオセグロカモメは捕らえた獲物を胃の中で消化して雛に与える。活発な火山活動が作り出した知床半島の荒々しい岩は、多くの恵みを動物たちに与えている。