東日本大震災と東京電力福島第一原発の事故の発生から14年。福島県浪江町で生まれ育ち今は宇都宮市で暮らす女性は震災と事故の記憶を伝え続けたいと地元のラジオ番組に出演している。宇都宮市のコミュニティーラジオで月に1回、放送されているこの番組。地元の大学生がゲストの被災者に質問していく形で今も続いている震災と原発事故の影響について伝えている。この番組のコメンテーターを務めるのが福島県浪江町出身の田中えりさん。ラジオを聞いている人に分かりやすいようにそのつど、被災地の現状などを説明している。田中さんは大学に入るまでの18年間を浪江町で過ごした。自然豊かな町で姉と遊ぶのが大好きだった。しかし14年前、宇都宮市の大学で学んでいたときに事故が起き、町は帰還困難区域に指定された。それ以来、ふるさとには戻れずにいる。田中さんは大学を卒業したあとも新聞記者として震災と原発事故に関わり続けてきた。しかし取材を続ける中で、人々の意識が薄れ始めていると感じるようになった。事故の記憶を風化させてはいけない。新聞社を辞めた田中さんはことし初めて震災の記録を伝える展示会に参加した。見てもらいたかったのは荒れ果てた自宅と美しい海。14年がたった今も続いている現実。ラジオのコメンテーターは先月から始めた。心がけているのは被災者の思いに寄り添い、伝えたい気持ちを語ってもらうこと。一緒に出演する学生には震災と事故の影響の大きさを改めて感じてもらいたいと考えている。田中さんの思いは大学生にも伝わっていた。被災者たちが感じてきた心の内を語り継いでいきたい、田中さんの変わらない思いだ。
住所: 福島県双葉郡大熊町大字夫沢字北原22
URL: http://www.tepco.co.jp/nu/f1-np/press_f1/2014/2014-j.html
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