インドネシアでは来年2月の大統領選に向けて本格的な選挙戦が始まった。9年国を率いてきたジョコ大統領は2014年の就任以来コロナ禍を除き年5%前後の経済成長を実現、2045年にはGDP世界5位の目標を掲げ4兆円を超える首都移転計画のプロジェクトを打ち出している。ジョコ大統領後継者を自認している国防相のプラボウォ氏で過去2回の大統領選では競り合っていた。軍の元最高幹部で強い指導者として打ち出す一方で90年代の民主活動家拉致事件への関与から人権団体からは懸念されているが政権基盤を盤石にするために国防相に迎え入れたということ。3度目の立候補のプラボウォ氏が副大統領候補に若くして地元で市長を務めているジョコ大統領の長男ギブラン氏を選んだ。ギブラン氏立候補を巡ってはこれまで副大統領立候補は40歳以上という法律があったが憲法裁判所はギブラン氏立候補の数日前に自治体の首長経験者は40歳未満でも可能という異例の判断を下した。裁判所の長官はギブラン氏のおじにあたる人物で批判が高まるなか長官は「倫理と行動規範の重大な違反」と解任されたが判断は覆らなかった。他大統領候補からは政治がジョコ大統領一族に私物化され民主主義が脅かされると批判が相次いだ。最大与党の立候補者ガンジャル氏は自身は世襲候補でないことを主張、現政権の改革を訴えるアニス氏は更に強い言葉で批判している。インドネシア政治の研究家は「顕著にみられるのが自信、10年の積みあげてきたレガシーを後任にいかにバトンタッチすると非常に執着している。極めて危ないことをしかねない自信にもつながってくるのでは」などとジョコ大統領の変化を懸念している。