去年4月に配置された機動救難士たちがヘリコプターの格納庫の片隅で降下技術を磨く訓練を行っていた。体を支えるのはロープ1本である。上席機動救難士の神谷さんは「一歩間違えば落下事故を起こす可能性があるので、非常に危険な降下手法である」と話した。機動救難士は全国10基地に各9人ずつ配置され、合計90人しか居ない精鋭部隊である。海難事故でヘリコプターから降下して吊り上げ救助を行うことから「空飛ぶ海猿」とも呼ばれている。彼らが釧路に配置されたきっかけは一昨年4月に知床半島沖で発生した観光船沈没事故である。当時、事故があった同等地域は機動救難士が1時間以内に到着できない空白地帯で、初動の遅れが課題となっていた。事故から1年後、救助体制強化のため新たに9人が釧路航空基地に配置された。現役の機動救難士だけでなく、過去の経験者も集まっている。9人全員が観光船事故の初動対応や今も続く捜索活動に携わっている。チームをまとめるのが神谷さんである。基地の空きスペースをフル活用し、出動への備えをしている。プレハブにはドライスーツなどの装備が。中には全国の別基地から集めた資機材もあるという。さらに天井の隙間を活かし作られた懸垂バー。筋トレグッズが並んでいたのはボイラー室。釧路航空基地に機動救難士が配置され道東地域がカバーできるようになったが、求められているのは海の救助だけではない。道東地域は海溝型地震の発生で津波による被害も想定され陸上での救助も求められる。釧路への配置からまもなく1年。今後、海に留まらない救助体制の柔軟な運用が求められる。
住所: 北海道釧路市南浜町5-9
URL: https://www.kaiho.mlit.go.jp/01kanku/kushiro/syoukai/
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