かつてロシアの領土だったアメリカ・アラスカ州アンカレジに降り立ったトランプ大統領とプーチン大統領。これまでウクライナへの侵攻を続けるロシアを厳しく非難してきたアメリカだが、レッドカーペットを用意する異例の好待遇でプーチン大統領を歓迎。トランプ大統領から手を差し伸べ、固い握手を交わした。記者団からの「ウクライナを軽んじていませんか?」「市民の殺害をやめますか?」という質問にプーチン大統領は聞こえないというようなジェスチャー。その後、アメリカの大統領専用車に揃って乗り込んだ。2019年、大阪で行われた米露首脳会談ではトランプ大統領が翌年に控えるアメリカ大統領選挙に介入しないようプーチン大統領に警告した。当時はお互い笑みを見せるなど和やかな雰囲気だったが、おとといはトランプ大統領は何も答えず口を閉ざした。記者からの問いかけにプーチン大統領が困惑する表情を見せる場面もあった。会談では当初1対1で予定していたが、トランプ大統領の側近やロシア・ラブロフ外相を交えた3対3に変更。約3時間協議が行われたものの、焦点だった停戦合意には至らなかった。共同記者会見ではプーチン大統領が先に話を始め、ウクライナを“兄弟の関係”とまで語った。これに筑波大学・中村逸郎名誉教授は「プーチン大統領自身にとってはまんまと思惑通りに事が進んだ。世界に向けて自分の立場、自分の正当性を発表する機会を得たということで、非常に自己満足しているんだと思う」と指摘した。一方、トランプ大統領は「合意に至らなかった重要な点がいくつかある。おそらく最も重要なのは一つだが、合意に到達する可能性は非常に高い」と述べ、停戦合意に向けた具体的な内容も示されなかった。中村名誉教授は「今回は停戦協議というよりも米露関係の関係回復。もっと言えば、これまでのトランプさんの言動に対して釘を刺したということが言える」と話した。18日、ワシントンで行われるトランプ氏との会談にはウクライナ・ゼレンスキー大統領に加えヨーロッパの首脳も参加すると言われているが、それぞれの溝を埋めることはできるのか。
