日本の台所として80年以上にわたって親しまれてきた築地市場の跡地に何ができるのか事業者が説明。再開発を担うのは、三井不動産を代表とするトヨタ不動産、読売新聞グループ本社など11社の企業連合。三井不動産・植田俊社長は「次の百年の社会をつくる。まちから未来を変える」と語った。昭和10年に開場し、食品流通の一大拠点となってきた築地市場。6年前に東京・豊洲への移転に伴って閉鎖された。約20ヘクタール、東京ドーム4個が入る広大な土地。再開発の中心になるのは、約5万人を収容できる多機能型のスタジアム。野球やサッカーなどのスポーツ大会やコンサートなどの開催を想定。用途に応じて、観客席やフロアを動かすことで8つの形に変えることができる。国際会議を開くことのできる施設や隣接する築地場外市場と連携し、食の研究拠点を整備する。会見では、新たに建設されるスタジアムを巡り「プロ野球・巨人の本拠地にしたいとは考えない?」との質問。読売新聞グループ本社・山口寿一社長は「巨人軍の本拠地移転を前提として計画してきたものでもない」と述べた。再開発について、事業者は「築地の歴史」ということばを強調。三井不動産・植田俊社長は「築地の歴史を踏まえて、東京の国際競争力を高め、都民に愛され、世界中から人々が集まり、称賛される魅力的なまちづくりをしていきたい」と語った。海外にも知れわたる歴史ある町・築地。築地で生まれ育ち、この町を長年見続けてきた築地町自治会・江間正昭会長は「再開発の最大の目玉はスタジアム。周りに歌舞伎座、演舞場とかある。娯楽を楽しむまちでることも一面、歴史的にはあった。これからの築地を象徴するだろう」と述べ、一方で、「築地ブランド自体が吹き飛んでしまう可能性がある」と心配も口にした。歴史ある町の再開発。東京都の審査の過程でも「築地が育んできた歴史文化を十分に生かすように」と有識者から意見が出ていた。跡地の隣に今もある場外市場。その店で作る協議会も築地の町並みや食文化を残していこうと、新たに出店する事業者向けのガイドラインを取りまとめた。店のデザインについて、極端に派手な色彩としないなど、協議会と事前に相談することや適正な価格で商品を提供することなどを求めている。築地食のまちふくり審議会・北田喜嗣理事長は「新しいまちと新しいあきないのチャンスが出てくるのかなと楽しみにしている」と述べた。再開発について事業者は来年度から一部施設で着工し多くの施設は2032年度に整備を完了する予定だとしている。